ドラマのなかでも和歌好きとして描かれていた実朝ですが、今回はそんな彼が編纂した家集である「金槐和歌集(きんかいわかしゅう)」を解説していきたいと思います。
有名な歌も合わせてご紹介します!
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■「金槐和歌集(きんかいわかしゅう)」とは?

「金槐和歌集(きんかいわかしゅう)」は、鎌倉幕府第三代将軍の源実朝によって編纂された家集です。別名の「鎌倉右大臣家集」、または略称の「金槐集」とも呼ばれます。
「金槐和歌集」の「金」は鎌の偏を表し、「槐」は槐門(大臣の位)を表しているとされています。
建暦3年(1213年)に藤原定家から「万葉集」が実朝に贈られており、そのころに成立したと言われています。全1巻で、663首(貞亨本では719首)が収められています。春・夏・秋・冬・賀・恋・旅・雑の構成となっています。
冒頭の3首は後鳥羽院のいる朝廷への敬慕を表す歌を、そして最後の3首は後鳥羽院の御書を受けた時の感激を伝える絶唱と、呼応する形になっています。
■源実朝の代表的な和歌
ここからは、「金槐和歌集(きんかいわかしゅう)」に収録されている、源実朝の代表的な和歌をいくつかご紹介します。
「箱根路を わが越えくれは 伊豆の海や 沖の小島に 波のよるみゆ」
(東海道の難所である箱根山を越えたら、伊豆の海が広がった。沖に小島。
情景をシンプルに表した歌ですが、臆することなく歌にしたのが実朝の特徴ともいえます。
「山はさけ 海はあせなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも」
(山が裂けて、海が干上がってしまうような世になってしまったとしても、君(後鳥羽上皇)を裏切ることはありません)
こちらは、後鳥羽院への忠節を表している歌です。
■源実朝の和歌の後世の評価
源実朝の和歌は、賀茂真淵、斎藤茂吉、小林秀雄、吉本隆明、中野孝次などといった有名な人々から高く評価されています。
いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです!
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