■仏語だけどフランス菓子ではない

皆さんは、ケーキ屋さんでよく売っているミルクレープというケーキはご存じでしょうか。私などは、これを販売しているお店に行くと、真っ先にこれを購入してしまうほど好きです。


甘いものが好きな方なら説明不要かも知れませんが、ミルクレープはクレープ生地とクリームを何重にも重ね合わせて分厚くし、ケーキの様に切り分けて食べるというものです。

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特徴的なのはその断面で、重ね合わせた生地とクリームが、まるで地層のような黄色と白の縞模様を描き出しています。

事程左様に材料・作りともにシンプルなケーキではありますが、フォークで切ったりかぶりついたりした時の感触は、他のケーキにはない独特さです。クレープ生地と生クリームの感触が交互にやってきて、サクサク、プチプチという感じになるのがいかにも「ミルクレープを食べている!」という気分にさせてくれます。

今回はこの、日本で大人気のミルクレープの起源に迫りたいと思います。

ミルクレープ発祥の地はなんと「あの国」だった!その起源と全国に広まった経緯とは


まずそもそも「ミルクレープ」という名前の由来ですが、これはフランス語の「千枚のクレープ」という意味です。「ミル」が「千枚」を表しているのです。

ちなみに洋菓子で、パイ生地とクリームを重ね合わせるミルフィーユがありますが、これは日本語で「千枚の葉」を意味するそうです。



では、ミルクレープが生まれたのもきっとフランスだろう……と思ってしまいますが、実は違います。

■答えは「日本」!

ミルクレープが誕生したのは、フランスどころか、実は日本です。ミルクレープは日本で生まれた洋菓子、いわば和洋菓子とでも言うべきものなのです。

ミルクレープ発祥の地はなんと「あの国」だった!その起源と全国に広まった経緯とは


日本で初めてミルクレープが作られたお店は、ある程度は絞られていますが、いくつかの説があるようです。


最も一般的なのが、1978年に創業した西麻布のカフェ「ルエル・ドゥ・ドゥリエール」であるという説です。また、南麻布のカフェ「ペーパームーン」が元祖であるという説もあったのですが、これは両店が同じ工場で作ったものを販売していたからという事情もあったようです。

また、1976年頃に西麻布にあった勝沼亭という店が特別メニューとして既に提供していたという情報もあります。

ただ、もともとミルクレープというお菓子を全国に広めたのは、あの株式会社ドトールコーヒーです。同社が、最初に挙げたルエル・ドゥ・ドゥリエールから許可を得て1996年に売り出したところ大ヒット。これが、ミルクレープというお菓子が全国的に広まる大きなきっかけになったのです。

そのような経緯もあり、なんとなくミルクレープの元祖はルエル・ドゥ・ドゥリエールである、というイメージになっているようです。

ミルクレープ発祥の地はなんと「あの国」だった!その起源と全国に広まった経緯とは
ちなみに、株式会社ドトールコーヒーが売り出す前は、ミルクレープというのはそれほど有名でもなく、さほど売れてもいなかったとか。

このように、「元祖」「始祖」はあまり評判にならなかったけれど、後に別の人物が上手に宣伝したおかげで有名になった……という経緯は興味深いですね。浄土真宗や禅宗、それにキリスト教などもそういう歴史があります。

参考資料
Cake.jp マガジン
趣味時間
ナポリの窯グルメブログ

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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