Japaaanでは以前に、仏教起源の日本語を紹介しました。



開発、愛嬌、玄関…あれもこれも!?仏教が由来になっている日本語たち:その1
「楽しい」は「手伸ばし」から?日本神話に起源を持つポジティブ...の画像はこちら >>


喫茶、我慢、覚悟も!まだまだある、仏教が由来になっている日本語たち:その2
「楽しい」は「手伸ばし」から?日本神話に起源を持つポジティブな日本語


“懐石“という言葉は仏教由来?仏教と茶道の影響を受けた和食文化
「楽しい」は「手伸ばし」から?日本神話に起源を持つポジティブな日本語




実は、日本神話に起源を持つ日本語も存在しています。
今回は、そのような言葉を少し紹介していきます。

満員電車に揺られながら、自宅から会社へと出勤する日々を送る。あるいは、家で同じような作業を繰り返すなど、毎日同じことを繰り返していると、「新しい刺激」もなくなり、「あー、なんか面白いことないかなぁ。」なんて思わずつぶやいてしまいがちになってしまいます。

このように、普段から何気なく使っているこの「面白い(おもしろい)」という言葉は、実は日本神話に起源を持つ日本語なのです。

「面白い」の「面(おも)」とは、「面(おもて)」のことで、顔や目の前が白くはっきりとした様子を表していています。そして、この言葉の起源は、日本神話にまつわる「天岩戸隠れ」という有名なエピソードが元になっているといわれています。

「楽しい」は「手伸ばし」から?日本神話に起源を持つポジティブな日本語


天岩戸神話(春斎年昌 画)

神話では、「太陽神である天照大御神(アマテラス)が天岩戸に隠れてしまい、それによって世界が暗闇に包まれ、世界が乱れてしまった」と伝えられています。

世の中を正常化し、治安を良くするためには、再び世の中を光に満ちた明るい世界にしていかなければなりません。そこで、神々は、天照大御神の隠れてしまった岩戸の前で、賑やかに宴を催し、その中央に芸能の神である天宇受売(アメノウズメ)を歌い踊らせました。

「楽しい」は「手伸ばし」から?日本神話に起源を持つポジティブな日本語


神々が相談したとされる「天安河原」(あまのやすかわら) (写真ACサイトより)

天照大御神がその賑やかな様子が気になり、外を覗いてみようと少しだけ岩戸を開いたところ、光によって周りの神々の顔(面)が白く照らされはっきり見えるようになりました。

その様子が、「あはれ あなおもしろ あなたのし あなさやけ をけ」と、古くから伝わる歌謡に伝えられています。

「たのし」は「手伸し」と書き、手を伸ばして喜び舞う様子、つまり「楽しい」の語源ですね。
天照大御神が岩戸から戻られ、暗かった世界が白く明るくなり、皆が手を伸ばして喜んでいるさまが目に浮かぶようです。

そして、今でもそのままの意味合いで使われているのが、古い言葉を大切にしている日本人らしいところですよね。



「楽しい」は「手伸ばし」から?日本神話に起源を持つポジティブな日本語


天岩戸神社(wikipediaより)

また、「音楽」という言葉の由来も、「神事の際に用いる楽器から来ている」という説があります。

この考えによると、「音」の字は、言(神にへの祈り、誓いのことば)の字に「一」を追加した形で、祈りに対する神様からの返事、「楽」の字は、神事の際に用いる楽器「手鈴」「神楽鈴」が、それぞれ元になっていると考えることができます。

このように考えると「音楽」とは、神様とのコミュニケーションから始まっており、まさに「天岩戸隠れ」のエピソードから見て取れるように、元々は、「皆で面白く、楽しく交流するための手段だった」と考えることができます。

今回は、日本神話に起源を持つポジティブな日本語をいくつか紹介しました。

この3年間のウィルス禍で様々な行動が規制される中、フェスやコンサートなどの音楽業界もその対象でした。

しかし、限られた条件の中でも世界のアーティスト達は、音楽で人々を元気づけようと考え、オンラインでの配信や、リモートセッションなど新たな方法に挑戦し続け、演奏をやめませんでした。

岩戸の中から一筋の光が差し込むように、少しずつではフェスやコンサートも通常の規模で行われるようになってきました。古代から変わることのない音楽の力を借りて、皆で明るく楽しく、面白く生きていきましょう。

【アクセス】

天岩戸神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町大字岩戸)

公共交通:JR延岡駅→宮交バス高千穂行きで1時間16分、終点下車、同バス天岩戸神社行きに乗り換え16分、終点下車、徒歩すぐ
車:九州道益城熊本空港ICから国道28・325号経由1時間40分。または九州中央道山都中島西ICから国道445・218号経由59km1時間15分

■天安河原(宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸)

天岩戸神社・西本宮から徒歩約10分

参考

  • 「第5話 天岩戸の話」『神社人』
  • 伊東信夫著『成り立ちで知る漢字のおもしろ世界 武器・ことば・祭祀編』(2007 スリーエーネットワーク)
  • 齋部弘成撰、西宮 一民校注『古語拾遺』(1985 岩波書店)

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

編集部おすすめ