で、なんで凧あげは「タコ」なの? と思ったことはありませんか?
凧上げはそもそも日本発祥ではなく、平安時代に中国から入ってきた文化。紙鳶(しえん)といって、紙のトンビと書きます。
しかし柄は燕やフクロウなど様々であることが多く、バランスをとるためにひらひらとした長い紙が多数ついていたことから、その形をもって日本では「イカ」や「イカのぼり」と呼ばれていました(辞書でも、凧=イカ、タコと両方並記されていることも多く、紙鳶=イカ、イカノボリと説明されています)。
平安時代は貴族や武士の遊びだったそうですが、江戸時代になると庶民にも大流行。特に人口密集度の高い江戸では空を埋め尽くすほどのイカがあがったという。

富岳三十六景、葛飾北斎
しかも江戸時代には大凧が流行ったため、墜落すると様々な被害が。武家屋敷では屋根の修繕費がかさんだり、大名行列の中に墜落して怪我をさせたり。
ケンカ凧という競技用のタコでは相手の糸を切るためにガラス入りの松脂を糸に塗ったり、雁木に刃物を仕込んだりしたので喧嘩が絶えなかったりと、困った事態も沢山引き起こしたので、幕府が「いかのぼり禁止令」を出すほど。
しかし、そこは江戸っ子。「でやんでえ。イカがだめなら、タコでどうだ!」というノリで、「タコあげ」に名前を変更。そのまま流行り続けて定着したという。

これが凧の字の原型…!(凧の糸に仕込む刃付きの雁木、Wikipediaより)
え、じゃあ「凧」という漢字はどこから? はい、実はこれ全くの造語。まさにタコあげのために「凧」という字まで作ってしまったということなのです…!
もちろん幕府は「たこのぼり禁止令」も出したが暖簾に腕押し。明治時代に入り自然と人気が落ち着くまで、人気は続いたそうな。
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