称号(諡号)の頭に「後」がつく天皇陛下は、大抵その前の天皇陛下がいるのです。
■「前」の天皇陛下が見当たらない5人。なぜ?
第89代・後深草天皇。藤原為信筆
【称号に後がつく天皇陛下と、対応する天皇陛下】
68代・後一条天皇 → 66代・一条天皇
69代・後朱雀天皇 → 61代・朱雀天皇
70代・後冷泉天皇 → 63代・冷泉天皇
71代・後三条天皇 → 67代・三条天皇
77代・後白河天皇 → 72代・白河天皇
82代・後鳥羽天皇 → 74代・鳥羽天皇
86代・後堀河天皇 → 73代・堀河天皇
88代・後嵯峨天皇 → 52代・嵯峨天皇
89代・後深草天皇 ⇒???
91代・後宇多天皇 → 59代・宇多天皇
93代・後伏見天皇 → 92代・伏見天皇
94代・後二条天皇 → 78代・二条天皇
96代・後醍醐天皇 → 60代・醍醐天皇
97代・後村上天皇 → 62代・村上天皇
99代・後亀山天皇 → 90代・亀山天皇
北朝4代・後光厳天皇 → 北朝初代・光厳天皇
北朝5代・後円融天皇 → 64代・円融天皇
100代・後小松天皇 ⇒???
102代・後花園天皇 → 95代・花園天皇
103代・後土御門天皇 → 83代・土御門天皇
104代・後柏原天皇 ⇒???
105代・後奈良天皇 ⇒???
107代・後陽成天皇 → 57代・陽成天皇
108代・後水尾天皇 ⇒???
110代・後光明天皇 → 北朝2代・光明天皇
117代・後桜町天皇 → 115代・桜町天皇
118代・後桃園天皇 → 116代・桃園天皇
日本の歴史上、称号に「後」がつく天皇陛下は27名(北朝含む)。いずれも対応する天皇陛下がいるかと思いきや、いきなり「後」がついている=「前がいない」天皇陛下が5名いました。
- 第89代・後深草天皇
- 第100代・後小松天皇
- 第104代・後柏原天皇
- 第105代・後奈良天皇
- 第108代・後水尾天皇
ならばどうして、彼らの称号にはいきなり「後」がついたのでしょうか。
■別名を見てみると……

第100代・後小松天皇(画像:Wikipedia)
歴代天皇陛下の称号を調べてみると、いきなり「後」がついた天皇陛下に対応する天皇陛下は、別の称号(カッコ内)がついていたのでした。
後深草天皇→第54代・仁明天皇(深草帝)
後小松天皇→第58代・光孝天皇(小松帝)
後柏原天皇→第50代・桓武天皇(柏原帝)
後奈良天皇→第51代・平城天皇(奈良帝)
後水尾天皇→第56代・清和天皇(水尾帝)
だからいきなり「後」がついたように見えたのですね。
しかしそれなら、なぜ例えば後深草天皇は「後仁明天皇」とならなかったのでしょうか。
というのも、実はこちらの天皇陛下は生前の事績を表して贈られたものだからです。
深草・小松・柏原・奈良・水尾。
他の天皇陛下についても、多くがその前例にならって「後」を贈られたのでした。
後醍醐天皇のように、生前から「醍醐天皇を尊敬しているから、自分の諡号は『後醍醐天皇』にしてね」と決めておく例外もいますが……。
今後も天皇陛下の称号について、色々調べて紹介したいと思います!
※参考文献:
- 皇室事典編集委員会編著『皇室事典』角川学芸出版、2009年4月
- 志村有弘 編『天皇皇族歴史伝説大事典』勉誠出版、2008年12月
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