僧侶らを率いて都へ押しかけ、朝廷に対して大和国司解任などの要求を突きつける興福寺別当・定澄(赤星昇一郎)。

これを毅然とはねつけたところ、都に火災や病などが頻発。
事態を憂慮した藤原道長(柄本佑)は御嶽詣でを決断するのでした。

一方の藤式部(吉高由里子)は光る君の物語を書き進め、貴族たちの心を奪うように。

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大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

有名な若紫のシーン(ヒロインが捕まえておいた雀の子を、犬君という男の子が逃がしてしまう場面)に喜んだファンも多いのではないでしょうか。

しかし肝心な一条天皇(塩野瑛久)と藤原彰子(見上愛)の仲は深められず、どうしたものかと悩むのですが……。

NHK大河ドラマ「光る君へ」第34回放送は「目覚め」。殿御はみな、可愛いもの。まひろのアドバイスに、いよいよ彰子が目覚めるのかも知れませんね。

それでは今週も気になるトピックを振り返っていきましょう!

■第33回放送「目覚め」略年表

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雀を逃がしてしまった若紫と、その様子をのぞき見る光源氏。『源氏物語絵巻』より

寛弘3年(1006年) まひろ37歳
  • 7月11日 興福寺別当・定澄が僧侶ら二千余名を率いて入京する
  • 7月12日 定澄らが土御門第を訪問する
  • 7月13日 興福寺の僧侶らが内裏へ押しかけ、検非違使に追われる
  • 7月15日 定澄らが道長に申文を進上する
寛弘4年(1007年) まひろ38歳
  • 1月5日 源倫子が藤原嬉子を出産する
    同日に藤原斉信邸が火災
  • 1月13日 藤原惟規が六位蔵人、藤原道雅が五位蔵人となる
  • 3月3日 土御門第で上巳祓(曲水の宴)が執り行われる
  • 3月24日 藤原道綱邸が火災
  • 3月28日 敦康親王が霍乱を患う
今回は寛弘3年(1006年)秋から寛弘4年(1007年)春にかけて描かれました。

再起を賭ける藤原伊周(三浦翔平)が、道長の御嶽詣でを襲撃する気配を見せています。果たしてどうなるのでしょうか。

■神の斎垣(いがき)を越えるって…藤原惟規は何をするの?

まひろの口添えによって六位蔵人となった藤原惟規(高杉真宙)。
まぁ……よかったですね。

※実際には、自分の実力で抜擢されたと考えられます。

これまで演じられて来たとおり、蔵人は天皇陛下の側近なので、激務ですが出世コース。

ぜひ励んで欲しいけど……まぁ、やっぱりマイペースなんでしょうね。そんな惟規が大好きです。

ところで劇中「神の斎垣(いがき)を越えるかも?」という発言がありました。

これは賀茂斎院・選子内親王(せんし/のぶこ)に仕える女房へ夜這いをかけることを意味します。

神垣は 木の丸殿に あらねども
名のりをせねば 人咎めけり
※藤原惟規

次週にこの場面が描かれるような予告があったので、楽しみにしておきましょう。

■上巳祓って何?

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曲水の宴(イメージ)画像:岩手観光協会

3月3日と言えば、ひな祭り(桃の節句)。かつては上巳祓(じょうしのはらえ)・上巳節会(~せちえ)などと呼ばれていました。

上巳とは「3月最初にくる巳(み。へび)の日」という意味ですが、魏(ぎ。
古代中国王朝)の時代に3月3日と固定されたそうです。日本では大宝元年(701年)から始まったと言います。

劇中では曲水(ごくすい)の宴が雅やかに催され、平安時代の王朝絵巻を堪能させてもらえました。

また上巳祓では、贖物(あがもの)という人形(ひとがた)に心身の穢れを移して水に流す習慣が採り入れられていきます。

現代でも夏越祓(なごしのはらえ。6月30日)や大祓(おおはらえ。大晦日)として体験された方もいるのではないでしょうか。

やがて贖物が流し雛となり、雛祭りへと移り変わったのでした。

■雨に降られた男たち

久しぶりに集結したF4(藤原道長・藤原公任・藤原斉信・藤原行成)。道長を源俊賢(本田大輔)と入れ替えると一条朝の四納言ですね。

雨に降られて宴会は一時中断、ずぶ濡れになった男たちが談笑する……前にも打毬の回でそんな場面がありました。

まひろがいるので、流石に服は脱げませんでしたが……ところでまひろは、親しくもない男性の前で平然と顔を晒して平気なのでしょうか。


それはそうと、屈託なく笑い合う父の姿を御簾越しに見た彰子は、少しだけ殿御(男性)に打ち解けてみる勇気が出たのかも知れません。

次週の「お慕いしております」というのは、恐らく一条天皇に対して……ですよね?

■御嶽詣でって何?

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現代の金峯山寺

愛娘・彰子の懐妊を祈願するため、道長は御嶽詣で(みたけもうで)を決心します。

百日にわたって精進潔斎(しょうじんけっさい。心身を清める)し、金峯山寺(きんぷせん。奈良県吉野郡吉野町吉野山)へお参りすることを御嶽詣で(みたけもうで)と言いました。

視聴者の中には、まひろの亡き夫・藤原宣孝(佐々木蔵之介)も御嶽詣でに行っていたのをご記憶の方がいるかも知れません。

その時は派手な装束を清少納言(ファーストサマーウイカ)に批判?されていましたが、後に宣孝が筑前守に任じられていることから、特に問題なかったようです。

話を戻して、金峯山寺の本尊は蔵王権現(ざおうごんげん)。

またの名を金剛蔵王権現とも呼ばれ、永久不滅の真理を体現し、あらゆる存在を司る仏と言われています。

釈迦如来・千手観音・弥勒菩薩が一体化した存在と言われ、インド由来でない日本独自の仏なのだとか。

宣孝の例もある通り、霊験あらたかな仏様として、人々から崇敬されていました。

■第35回放送「中宮の涙」

道長(柄本佑)は中宮・彰子(見上愛)の懐妊祈願のため、息子の頼道(渡邊圭祐)と共に御嶽詣へ向かう。
しかし険しい行程と悪天候に悩まされ、目的地である金峯山寺への到達に手こずっていると、伊周(三浦翔平)が武者を引き連れ、不穏な動きを見せる。その頃、まひろ(吉高由里子)の書く物語に興味を持った一条天皇(塩野瑛久)が、まひろに物語の真意を尋ねては、自身の境遇を重ね…。さらにまひろは彰子の本心を知り…

※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより。

中宮・彰子の目に涙、彼女の本心は…大河ドラマ『光る君へ』第35回(9月15日)放送のあらすじ&相関図が公開!
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都を離れ、御嶽詣でに向かった道長一行。

このチャンスを逃すまじと藤原伊周(三浦翔平)は平致頼(中村織央)を遣わし、道長暗殺を謀っているという噂が立ちました。

実際には単なる噂に過ぎず、道長は無事に帰ってくるのですが、それだとわざわざ致頼を登場させる意味がありませんね。

果たして次週はどんな展開になるのか、固唾を飲んで見守りましょう。

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