いずれも、日本史を勉強していて早い段階で目にするものですよね。
独特な形状で、どちらもなんとなく覚えているけど、具体的な違いは説明できない、という方も意外と多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、そんな土偶と埴輪の違いについて、大きく3つのポイントにわけてご紹介したいと思います。
■土偶と埴輪の違い(1)作られた時代
遮光器土偶
まず、もっともわかりやすい土偶と埴輪の違いとして、作られた時代が別々、ということが挙げられます。
土偶は、今から約16,500~約3,000年前(または約12,000年前~2,400年前)の「縄文時代」に作られました。一方、埴輪は、3世紀中ごろから7世紀ごろまでの「古墳時代」に作られました。縄文時代のあとに弥生時代があり、そのあとに古墳時代がきます。そう考えると、土偶と埴輪が作られた時代には、大きなへだたりがあることがわりますね。
※なお、それぞれの時代の始まりと終わりの時期については諸説あります。
■土偶と埴輪の違い(2)形状のおおよその特徴
土偶は土製の人形で、主に女性の形をしていることが特徴です。男性をモデルにしたと思われるものもありますが、出土数が少ないです。ちなみに、厳密には「土偶」は「ヒト型」のものを指します。動物の形をした焼き物も縄文時代にはありましたが、こちらは「土製品」と呼ばれます。

埴輪 馬
一方、埴輪の形状は実にさまざま。
■土偶と埴輪の違い(3)作られた目的
土偶は魔よけ・五穀豊穣・子孫繁栄などを願って作られたと考えられています。祈りの道具として儀式などで使われたそうです。なお、土偶は女性の形をしたものが多いと述べましたが、妊娠した姿のものも多く、安産の祈りや豊穣の祈りとして作られたという考えの裏付けにもなります。
また、土偶は一部が意図的に壊されたものも多くあります。これは、ケガ・病気を治すおまじないの目的で作られたという説につながります。ただし、縄文時代については、正式な記録がないため、用途や役割について明確な答えがわかっていないことは注意しましょう。
埴輪は亡くなった方を弔う目的で作られたと考えられています。古墳のまわりに置かれました。古墳に葬られる人物の生前の権威を示すものという目的もあったようです。権力者のためのものなので、土偶のように一部が意図的に壊されているということはありません。
いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
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