「光る君の物語、読みました」

道長ついに闇堕ち!今後は欲望のままに変貌…?大河ドラマ「光る...の画像はこちら >>


大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

前回藤壺へやってきた清少納言(ファーストサマーウイカ)の褒めながら怨むという何ともこじれ……もとい鋭い批評を何とかかわしたものの、実に微妙な気分のまひろ(藤式部。吉高由里子)。


その一方で藤原道長(柄本佑)は自分の血を引く孫の敦成親王(あつひら)を次の春宮とするべく、敦康親王(渡邉櫂)を藤原彰子(見上愛)から引き離しにかかります。

このままでは敦康親王が葬り去られてしまうと案じた藤原伊周(三浦翔平)らは、もはや趣味と化しつつある呪詛によって再び失脚。道長を面罵しながらつまみ出されていきました。

それを見てしまったまひろ。嫌な部分を見られてしまって、気まずそうな道長は……という第38回放送「まぶしき闇」。今週も気になるトピックを振り返っていきましょう!

■第38回放送「まぶしき闇」略年表

道長ついに闇堕ち!今後は欲望のままに変貌…?大河ドラマ「光る君へ」第38回放送(10月6日)振り返り!


藤原道長。『紫式部物語絵巻』より

寛弘6年(1009年)まひろ40歳/道長44歳
  • 2月1日 一条天皇・藤原彰子・敦成親王に対する呪詛が発覚。
  • 2月4日 呪詛を行った円能が捕らわれる。
  • 2月20日 源方理と高階光子の官職が剥奪され、藤原伊周が参内停止に。
  • 3月4日 除目が行われ、藤原為時が左少弁となる。
  • 5月15日 藤原彰子が第二子を懐妊する。
  • 6月19日 藤原伊周の参内停止が解除される。

    同日 藤原彰子が土御門第へ移る。
  • 9月24日 一条天皇が敦康親王の元服延期を命じる。
  • 10月5日 敦康親王と脩子内親王が藤原伊周の室町第へ移る。
今回は引き離される敦康親王と彰子の関係、そして性懲りもなく呪詛を繰り返し、失脚していく伊周の様子が主に描かれていました。

「正しいことをするために権力を盤石なものとする。そのためには我々に都合のよい敦成親王を次の春宮とする=敦康親王を政治的に抹殺する(意訳)」

嫡男の藤原頼通(渡邊圭祐)にそう説いていた道長。あくまで「闇堕ち」は私利私欲ではない、そう言いたいのでしょう。

これまでは周りの者たちが都合よくお膳立てしてくれていましたが、これからは自分の意思で権力をつかみに行くようです。

果たして道長の変貌ぶりがどのように描かれるのか、楽しみに見守りましょう。

■呪詛事件について

僧侶の円能(えんのう)が作った呪符によって発覚した伊周一派の呪詛。

その主犯として、源方理(阿部翔平)と高階光子(兵藤公美)らが捕らわれ、官位を剥奪されました。

前回初登場した彼らですが、それぞれどんな人物なのでしょうか。


源方理(みなもとの かたまさ)生没年不詳。源重光(しげみつ)の子で、伊周の義兄弟。かつて長徳の変(長徳2・996年)で失脚し、復帰するも今回の呪詛事件で再び失脚します。

しかし再び復活して三条天皇(居貞親王、木村達成)・後一条天皇(敦成親王)に仕えました。運がいいんだか悪いんだか分かりませんね。

ちなみに姉妹(源重光女)は道長の妻となっており、そのツテで復帰できたのでしょうか。

高階光子(たかしなの みつこ)生没年不詳。伊周の叔母で亡き高階貴子(板谷由夏)の姉妹。かつては亡き藤原定子(高畑充希)の元で中宮宣旨(ちゅうぐうせんじ。女房の筆頭格)を務めていました。

しかし今回の呪詛事件で失脚し、その後どうなったかは分かりません。

……彼らに共通していたのは敦康親王の将来を案じていたこと。
敦成親王の誕生によって道長の野望が剥き出しとなり、危機感に駆られての呪詛だったのでしょう。

破滅の坂を転がり落ちる伊周一派。残された藤原隆家(竜星涼)は、中関白家存続の重責を感じていたことと思います。

■藤原為時、左少弁に

道長ついに闇堕ち!今後は欲望のままに変貌…?大河ドラマ「光る君へ」第38回放送(10月6日)振り返り!


左少弁となった藤原為時(イメージ)

まひろのおねだり?が影響したのか、道長の意向によって藤原為時(岸谷五朗)が8年ぶりの官職にあずかりました。

ところで左少弁(さしょうべん)とは、どんな官職なのでしょうか。

左少弁とは弁官の一職で、彼らの属する弁官局では朝廷の最高機関である太政官(だいじょうかん)に属して八省(各省庁)の監督などを行いました。

謹厳実直かつ実務能力の高い者が選ばれたため、為時には適任と言えるでしょう。

弁官は左と右に分かれており、左がより上位とされ、それぞれ管轄が分かれています。

左弁官は中務省(なかつかさ)・式部省(しきぶ)・治部省(じぶ)・民部省(みんぶ)を担当。

右弁官は兵部省(ひょうぶ)・刑部省(ぎょうぶ)・大蔵省(おおくら)・宮内省(くない)を担当していました。

※後にまとめて弁官局全体が管轄したそうです。業務等に偏りが出てしまったのでしょうね。


弁官のランクは大弁>中弁>少弁、左弁>右弁となっています。

具体的には左大弁⇒右大弁⇒左中弁⇒右中弁⇒左少弁⇒右少弁の順番です。

為時は左少弁なので、下から二番目。きっと職務に精励したことでしょう。

■大河ドラマには何人登場する?道長の子供たち

道長ついに闇堕ち!今後は欲望のままに変貌…?大河ドラマ「光る君へ」第38回放送(10月6日)振り返り!


道長の子たち(イメージ)

藤原道長は、確認できる限りで3人の女性に13人の子供を生ませました。

ドラマの中でちょいちょい名前が出てきて混乱しつつあると思うので、ここで整理しておきましょう。

倫子との子供たち
  • 母:源倫子/康保元年(964年)生
  • 長女:藤原彰子/永延2年(988年)生、22歳 演:見上愛
  • 長男:藤原頼通/正暦3年(992年)生、18歳 演:渡邊圭祐
  • 次女:藤原妍子/正暦5年(994年)生、16歳 演:倉沢杏菜
  • 五男:藤原教通/長徳2年(996年)生、14歳 演:吉田隼
  • 四女:藤原威子/長保元年(999年)生、11歳 演:栢森舞輝
  • 六女:藤原嬉子/寛弘4年(1007年)生、3歳
明子との子供たち
  • 母:源明子/康保2年(965年)生
  • 次男:藤原頼宗/正暦4年(993年)生、17歳 演:上村海成
  • 三男:藤原顕信/正暦5年(994年)生、16歳 配役未定
  • 四男:藤原能信/長徳元年(995年)生、15歳 配役未定
  • 三女:藤原寛子/長保元年(999年)生、11歳
  • 五女:藤原尊子/長保5年(1003年)?生、7歳?
  • 六男:藤原長家/寛弘2年(1005年)生、5歳
ちなみにもう一人
  • 母親:源重光女(実名不詳)/生年不詳
  • 七男:長信(僧侶)/長和3年(1014年)生、未誕生
※年齢は第38回放送「まぶしき闇(寛弘6年・1009年)」時点。

こうして見ると正室の倫子は女子が多く、側室の明子は男子を多く産んでいます。

一説には「明子の方が正室だったのでは?」と言われており、実は女子を産んだ数によって、次第に立場が逆転したのかも知れません。

家督を継ぐ男子は最低限必要だけど、入内させる女子はいくらでも欲しい。

まさに倫子が生んだ多くの女子たちこそ、道長に権力をつかましめたのでした。

■第39回放送「とだえぬ絆」

中宮・彰子(見上愛)が二人目の皇子を出産。
次期皇位をめぐり公卿たちの思惑が交錯する中、道長(柄本佑)は自身の血を引く天皇の誕生を意識し始める。そして道長と敵対していた伊周(三浦翔平)の体調悪化の噂が宮中で広まる。一方、帰省中のまひろ(吉高由里子)が久々の家族団らんを楽しんでいると、賢子(南沙良)の父親が道長であることを、惟規(高杉真宙)が為時(岸谷五朗)にバラしてしまう。真実を知った為時は…

※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより。

あぁ、為時はまひろと道長の不義密通を知らなかった設定なんですね。あるいは疑惑を感じていても、あえて言立てる必要もなかったでしょう。

為時にとって、亡き藤原宣孝(佐々木蔵之介)は無二?の親友。それを裏切った娘を果たして許せるのでしょうか。

また予告編で、まひろが「惟規……」と泣いていたので、次回は藤原惟規(高杉真宙)が亡くなる寛弘8年(1011年)まで進みそうですね。

その間に道長にとって長年の政敵であった伊周が、そして一条天皇(塩野瑛久)が……もはや道長を遮る者は、あんまりいません。

欲望のままに権力街道を突っ走る道長。それでこそ道長です。
次週も楽しみに見守りましょう!

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