歌舞伎は、江戸時代の娯楽の一つ。歌舞伎を見ようと訪れるのは、リッチな商人から庶民まで実にさまざまでした。


■席も色々、お客さんも色々

一見、歌舞伎というとお値段が高そうなイメージですが、いろんなタイプの席があり、鶉枡(うずらます)と言われる一階平土間の大衆席から、その10倍の値はする貸切個室の席まで、ピンからキリまでありました。

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裕福な商人などの座るよい席は、10万円以上するものも!芝居茶屋でよそゆきの服に着替えてから歌舞伎鑑賞を楽しんでいたようです。また芝居茶屋に憧れの役者を呼ぶこともできたので、お目当ての役者さんと会うこともできました。

それに比べて、江戸っ子たちが利用する大衆席はひと枡に7人くらい収容が一般的で、混雑時にはもっと詰め込まれることもありました。ちなみに、この席で数千円です。

それでも高い!もっと通いたい!という庶民にとっての、人気の席といえば、立見席。2階の奥にある立見席は、チケット代は数百円くらいだったので、これなら毎日でも通えますね。

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■歌舞伎のジャンルにはどんなものがある?

大勢の人が夢中になった歌舞伎には、時代物や世話物、御家物(おいえもの)などのジャンルがありました。

時代物は、江戸時代より古い平安・鎌倉・室町時代の設定で、当時ヒーローだった源義経にまつわるものも多かったよう。一方世話物は江戸時代を舞台にした歌舞伎で、ストーリーには庶民や遊女が登場しました。

また御家物は、武家を舞台としています。ただし、実際に起きた武家騒動を題材にしてはいけなかったので、設定を平安・室町時代に変えたりとちょっとアレンジして脚色しました。
武家奉公の女中が里帰りする時期に合わせて上演していたそうです。

立見もあったほど!リッチ商人から庶民まで、江戸っ子に人気の娯楽だった「歌舞伎」の世界
引用画像:Wikipedia

■歌舞伎に夢中の江戸っ子たち

熱烈なファンならば、少しでも近くで憧れの役者さんの顔を見たいもの。その気持ちは、江戸時代も現代も同じです。江戸っ子たちは、少しでもいい席を確保したいがために、夜が明けないうちから並んだり、どの役者がどこで何を演じるかといった話題に興じていました。

江戸時代の人びとは、歌舞伎という華やかな世界で夢を見て、また今度観に来るのを楽しみにしながら、日々過ごしていたのでしょう。現代になっても、なお歌舞伎は多くの人に愛されています。時代が変わっても受け継がれていく歌舞伎という文化、大切にしていきたいですね。

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