歌川国芳『相馬の古内裏』
■がしゃどくろ
10m超の人食い骸骨のがしゃどくろは、夜中になるとがしゃがしゃと音をたてながら現れます。野垂れ死にした人たちのどくろが集まったものと言われ、生前の恨みをはらそうと、人を見かけると驚かします。
■釣瓶落とし
この妖怪も人を驚かすのが好きで、夜に人気のないところを通ると、木の上から鉄瓶などを落とします。中には、人を釣り上げて食べてしまうものもいるとか。人を食べても、おなかがすくと、また同じことを繰り返すというから困ったものです。
■送り狼

竜斎閑人正澄画『狂歌百物語』より
送り狼といっても、現代とはちょっと意味が違うのです。夜の山道を歩いているときについてくる狼のことで、砂をかけて人を転ばせたりと悪さをすることも。もし転んでも、落ち着いて煙草をすったら大丈夫と言われていました。青梅では、送り狼が人に声をかけてくるとか。そこで振り返らなければ何も怒らず助かるのですが、もし振り返ったら?あっという間に食い殺されてしまうとか。
これだけ聞くと送り狼は、悪いイメージになってしまいますね。
■飛縁魔(ひのえんま)

竹原春泉画『絵本百物語』より
この妖怪は夜の町に現れるのですが、絶世の美女なので、きっと男性はことごとく魅了されてしまうのでしょう。男の血を吸って殺してしまいます。
■黒玉
夏の夜と季節限定ですが、人が寝入った頃のこと。蚊帳の中に入り足とまったら、体をつたい胸を押さえつけて苦しめてしまう妖怪です。寝ているときは無防備なもの。そんなときに襲われるって、恐怖ですよね。
■赤抱かしょ
山形県の街道の辻に現れる女の霊で、夜にここを歩くと「赤抱かしょ(赤ちゃんを抱いて)」と赤ちゃんを差し出してきます。後ろ向きに抱けば、何もされません。もし、後ろ向きに抱かなかったら魂を抜かれると恐れられていました。
■牛打坊
これは、牛に被害を及ぼす妖怪です。夜中に牛小屋に入って、牛にわずかな傷をつけて殺してしまいます。
夜は、いろんな妖怪が出てくるのですね。そして、人を驚かしたり血を吸ったりと、飼っている牛が殺されてしまったりと、妖怪に翻弄される人々もきっと多かったのでしょう。
参考文献:江戸武蔵野妖怪図鑑 山口敏太郎, 絵でみる江戸の妖怪図巻
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