現代は、着物は買うものになっていますが、江戸時代の頃は自分で仕立てる人も多かったようです。着物の仕立てをするのは、庶民だけではありません。
身分の高い女性も、裁縫をたしなんでいたので、着物を仕立てていました。

着物の仕立て方法は、洋服との仕立て方法とは大きく異なります。洋服は人の身体にあわせて曲線裁ちをするので、無駄な裁ち落としができてしまうのです。それに対して、着物の場合は直線裁ちなので、ほぼ100%反物を活用できるというわけ。

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歌川豊春「浮絵駿河町呉服屋図」

■着物の仕立て職人も大活躍!

着物を仕立てるといっても、自分でやるのは簡単なものだけで高級品はプロにお任せという人も多かったとか。仕立てが本職の人というと、女性をイメージしがちですが、実は男性の仕立職人も多数。「男仕立て」という言葉もあったほどです。呉服店では反物を売っているので、その場で仕立てを注文する客に対応するために、大勢の仕立職を抱えていました。全国の産地から反物を仕入れて品揃えの充実を図ったりと、呉服屋として生き抜くためにいろんな工夫をしていたようです。ちなみに江戸で呉服店といえば、駿河町の三井越後屋、大伝馬町の大丸屋、通町の白木屋、本町の伊豆蔵・大黒屋などが有名でした。

■古着屋で予算にあったものを

できることなら着物を仕立てたいけど、反物を買うのはちょっとお金がかかるし、作るのもちょっと…という人は、古着屋に足を運んでいたようです。古着屋にも色々あり、上方からの高級古着を置いている下り古着問屋もあれば天秤棒に商品を吊るして歩く行商人もいたりと、実に様々でした。
嘉永5年(1852)には、古着屋商人がなんと2103人もいたので、かなり古着屋が多かったことが窺えます。古着屋でお気に入りの一着を見つけるのは、きっとオシャレな庶民の楽しみだったかもしれませんね。

裕福な層の人は呉服屋へ、庶民は古着屋へ。そして、裁縫が得意な人は、自分で着物を仕立て…と着物を手に入れるにも、いろんな方法があった江戸時代。着こなしも、自由に楽しんでいたようです。

参考文献:実見江戸の暮らし, 江戸時代商売図鑑

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