■弓取式の担当力士交代

2018年3月場所より、相撲の全取組み後に行われる「弓取式」を行う力士が、これまでの序二段・総ノ富士(さとのふじ)から幕下・春日龍に交代となりました。

総ノ富士は伊勢ヶ浜部屋所属の、2018年3月現在40歳というベテラン力士。
2012年に同部屋の元横綱・日馬富士が横綱に昇進したことで、その年の秋巡業から日馬富士が引退した後の2018年1月場所まで、5年以上にわたり弓取式を務めました。

「弓さばきの所作が美しい」と評判の高かった総ノ富士ですが、新任の春日龍も春巡業中に弓取式の鍛錬に励んでいたとのことで、今後に期待ですね。

■弓取式とは?

弓取式は、本来は結びの一番の勝ち力士が「勝者の舞」を演じるものでしたが、後にその場所の最後の勝ち力士を称える儀式へと変化したものです。本来は千秋楽にのみ行われるもので、千秋楽の「三役揃い踏み」に登場した2名の大関のうち勝利した力士によって行われていました。

その後、幕内の取組みが千秋楽には行われなくなった時期があったため、幕下以下の力士によって行われるようになりました。

1952年5月場所からは現在のように、千秋楽だけでなく取組み終了後に毎日行われるようになっています。

弓取式を行う力士は幕下以下ですが、この時はまげを大銀杏に結い、相撲協会所有の化粧廻しを着け、向正面に控えます。そして結びの一番で勝った力士が東方なら東から、西方なら西から土俵に上がります。

また「弓を抜く」と呼ばれる土俵を弓で掘るような動きも、結びの一番で勝った力士が東方なら東から、西方なら西からと決められています。

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こういったことからも、弓取式はその日最後の取組みに勝利した力士を称える儀式であることが伺えますね。

この他にも、万が一弓を落としてしまった時には手で拾わず、足の甲に乗せてから蹴り上げて取るという決まりもあります。この理由は、土俵に手をついて弓を拾うことは、相撲では「負け」を連想させるからだと言われています。


■弓取式を行う力士は誰?

弓取り力士は、基本的には横綱のいる部屋から、横綱不在の場合は大関のいる部屋から選出されることとなっています。横綱土俵入りの太刀持ち・露払いと同じように、弓取式を行う力士もまげを大銀杏に結って土俵に上がります。

「あの噂は本当なの?相撲の力士は髷(まげ)が結えなくなったら引退しなくてはいけない?」でも述べたように、髪がまだ短いなどの理由で大銀杏の結えない力士は、弓取り力士を務めることができません。

知らなかった!相撲の取組み後に行われる弓取式は、どんな力士がどうやって選ばれるの?


ちなみに「弓取式を任された力士は出世しない」というジンクスが囁かれていましたが、実際には弓取り力士を務めた後に小結まで出世した巴富士などの例もあります。出世しないというよりは、スピード出世の見込まれる若手力士をあまり選ばないと言った方が良いかもしれません。せっかく弓取式に選ばれても、あっという間に十両→幕内→三役と出世してしまったら、また新たに別の弓取式を行う力士を探さなければならなくなりますものね。

トップ画像:「聡ノ富士 久志」By 江戸村のとくぞう (Own work) [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

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