■玉子カレーの元ネタは大阪名物のカレー?
ドラマ内に登場する食堂、万々亭のメニューである玉子カレーは、店が架空の場所なので同じものは食べられません(当たり前ですけどね)。しかし、玉子カレーの元ネタと思しき料理は食べられます。それが自由軒の名物カレーです。
自由軒は、大阪初の西洋料理店として難波センター街で明治43(1910)年に開店したお店で、ビフカツなどのハイカラな料理を出すお店として人気を博していました。カレーライスも人気メニューのひとつでしたが、当時は保温ジャーが無かったので温かいご飯とカレーを供する手段がないのが難点でした。
そこで開発されたのが自由軒の名物カレーです。ご飯は冷めていても熱いカレーと混ぜることによって、熱々のカレーをお客さんに出したところ、人気メニューとなりました。『わろてんか』でこうしたカレーが食べられているのが、大正から昭和にかけてのことなので時系列的にもピッタリなのです。
■名物カレーに生玉子が乗っている理由
名物カレーの特徴は、ドライカレーともピラフともつかない外見ともうひとつ、生玉子が乗っていることです。この由来には『わろてんか』に登場する人々が持つ人情味を、どことなく感じさせるお話が残されています。
自由軒の創業者だった吉田四一さんは、お客様に美味しい物を食べて欲しいと考えて、高価な食材だった玉子を乗せました。

また、吉田さんはカレーを美味しくするお供としてソースを添えることを考案しました。今でこそ100円ショップでも買えるソースですが、当時はまだ高級品として扱われており、大衆化していませんでした。
■名物カレーの発明者が一皿に込めた想い
生玉子ばかりか、高級調味料のソースまでも恐らくは大損覚悟でポンと出してしまった吉田さんの心意気の裏には、お客様の美味しい笑顔を見たいと言う優しい思いがあったのかも知れません。それもまた、経営に腐心したり芸の道に精進する北村笑店の面々がお客様の笑顔を心待ちにしている姿と似通うものがあると思うのは、私だけでしょうか。
この名物カレーは今でも大阪で愛好されるグルメですが、通販でもカレーやソースを購入することが可能です。『わろてんか』の人物が食べる料理に興味がある方は、是非ともお試しくださいませ。
わろてんか
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