さて、江戸時代~明治時代の絵師の中には特定の動物が大好きな人がいたという話を聞くことがあります。浮世絵師の歌川国芳は無類の猫好き。そして伊藤若冲はたくさんの鶏を庭で飼っていたと言います。
明治時代に活躍した河鍋暁斎はカエル好きだったことで知られています。河鍋暁斎記念美術館では暁斎のカエル好きを ”暁斎の生涯は、「蛙の写生に始まり、蛙の墓に終わる」ほど” とも表現しています。
今回は、そんな蛙好きな日本画家・河鍋暁斎が描いた蛙作品をまとめて紹介します。暁斎らしいユーモアに溢れた作品が盛りだくさんで、そのほとんどは擬人化された蛙ですが、リアルさが感じられるのも暁斎の画力あってこそなのではないでしょうか。
美人観蛙戯図 河鍋暁斎
女性の足元でカエルたちが相撲をとっています。親方らしき蛙が腕組みをし、取組を厳しい表情で見ています。

虫の踊り 河鍋暁斎
なんとも楽しげな虫たちのダンス。センターでは蛙が蓮を太鼓代わりに使っています。暁斎の絵では同じみのコウモリの姿も。

猪に乗る蛙 河鍋暁斎
はいしどーどー!猪をうまく手懐ける蛙さん。動物や昆虫のサイズ感おかまいなし。コウモリが鞭を持っているのも細かい。

風流蛙大合戦之図 河鍋暁斎
これは長州征伐の様子を蛙の合戦に代えて描いています。右下には徳川家の六ツ葵紋、左端には毛利家の沢瀉紋が確認できます。

カエルの踊り 河鍋暁斎
擬人化されているのにとてもリアルに感じられる蛙のポージング。とても躍動感があって暁斎らしさにあふれています。

暁斎漫画より 河鍋暁斎
こちらは暁斎漫画のなかの1ページ。忠臣蔵十段目 天河屋の段の見立だそうです。

蛇を捕まえる蛙 河鍋暁斎
これもまた躍動感が凄まじい作品。一丸となって蛇捕獲大作戦!

カエルとヘビの戯れ 河鍋暁斎
蛇捕獲大作戦からの…蛇と戯れる蛙たち。トカゲを手なづけたカエルもいますよ。

蛙の人力車と郵便夫 河鍋暁斎(出展)
蛙葉を人力車の車輪に使って街を駆け抜けます。

蛙の放下師 河鍋暁斎(出展)
蛙の曲芸。放下とは日本の大道芸のひとつです。

三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪 河鍋暁斎
洋装髑髏と妖怪。妖怪が蛙っぽかったので番外編として。シルクハットをかぶったオシャレ髑髏は西洋文化が流れ込んできた明治時代ならでは。
いかがでしたか。河鍋暁斎は蛙が好きで蛙作品を好んで描くようになったのか?それとも蛙を描いていくなかで蛙の魅力にハマっていったのか?どちらにせよ、動画の一場面を切り取ったかのような躍動感あふれる作品群は圧巻の一言ですね。
6月24日まで「暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─」という、河鍋暁斎と娘・暁翠の展覧会が東京富士美術館で開催されているので、気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
画の真髄に挑んだ父娘!河鍋暁斎と娘・暁翠の展覧会「暁斎・暁翠伝」が楽しみすぎる!
また、埼玉県蕨市にある河鍋暁斎記念美術館は暁斎ファンに超オススメなのでぜひ。
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