昔の人々が病に対してどのような不安をいだき、そしてどのように対処していたのか?それが垣間見れる絵巻が、今回紹介する「病草紙(やまいのそうし)」です。
病草紙は、平安時代~鎌倉時代に描かれた絵巻物で、さまざまな病気や奇形に関する話を、ユーモアを交えながら説話的に紹介したもの。現在、病草紙は絵巻物の形ではなく、ページごとに切り離され様々な場所に収蔵されており、京都国立博物館に収蔵されている9図は国宝に指定されています。

今回は病草紙の中から珍しい症状の病やユニークな描写をしたページをピックアップして紹介してみたいと思います。国宝に指定されている9図はすべてe国宝のサイトで閲覧できますが、劣化が激しく見づらいので、今回は嘉永7年(1854年)の模写を添えながら紹介します。
■眼病の男

あるところに目が見えづらくなったという男がおり、目の病を治す医者に見せたところ、その医者は鍼治療として目を針で刺したところ、なおさら悪くなってしまい、遂には目が見えなくなってしまったという図です。
■二形の男(ふたなり)

容姿は男だけどちょっぴり女のようにも見える人物がおり、変に思った周囲の男達が、その男が寝ているスキに着物をまくりあげてみると、その男には男女の性器が付いており、驚いている様子。
■お尻の穴、多き男

お尻の穴がいくつもある男。その男が大便しているところを女性がまじまじと見ている図。現在で言う痔癆を患っている可能性高し。
■ツビジラミの男

ツビジラミとは、毛じらみのことで、毛じらみ持った女性にうつされた男が陰毛を必死に剃っている図。
■霍乱(かくらん)の女

苦痛となるほどお腹を下し、口からは嘔吐を繰り返す女性を人々が介抱している様子。
嘉永7年に模写された病草紙は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できますので、興味のある方は是非チェックしてみてくださいね!
病草紙
- 病草紙 – e国宝
- 病草紙 – 国立国会図書館デジタルコレクション
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