ここでは、それぞれの発祥から違いを紹介しましょう。
■日本では北国の名産「たらこ」
「たらこ」とは、そのまま「タラ(鱈)」の「子」の意味。いつごろからこの名で呼ばれ始めたのかははっきりしていませんが、昭和中期ごろまでは「鱈の子」と呼ばれていたようです。「たらこ」の名自体は意外と新しいことがわかります。
このたらこは基本的にスケトウダラの塩漬けを指します。真鱈を使うこともあるようですが、流通しているものはほとんどスケトウダラといっていいでしょう。
続いては博多の名産品「明太子」です。
■博多の名産「明太子」は朝鮮半島からもたらされた
「明太子」。実はこの名前は福岡の方言で「たらこ」を意味するものです。ではその「明太子」という言葉は何が由来なのか?
そのルーツは朝鮮半島にありました。韓国ではスケトウダラのことを「明太(ミョンテ)」と呼ぶのです。
博多ではその「明太(ミョンテ)」の「子(卵)」だから「明太子」と呼び始めたというわけです。
なるほど、韓国からきた辛いたらこが「明太子」なのか~!と思うかもしれませんが、そうではありません。「明太子」それ自体が辛いたらこを表すものではなく、辛いのは「辛子明太子」のほう。
博多では唐辛子入りの塩漬けを「辛子明太子」、辛くない塩漬けを「明太子」と区別していたようですが、今では全国的に省略形である「明太子」=「辛いたらこ」として浸透してしまったのです。
博多で多く生産・加工されて一躍名物となった「辛子明太子」。
日本ではもともと「たらこ」1本でしたが、辛子明太子が有名になったことで塩漬けと唐辛子の塩漬けの区別化が生まれたと考えられます。
■「辛子明太子」の元祖は?
ところで、博多名物「辛子明太子」の元祖はどこか。
朝鮮に渡って明太子に目を付けた樋口伊都羽氏、辛子明太子の老舗「ふくや」の創業者である川原俊夫氏、明太子の商標登録をした高井英一郎氏、北海道のたらこ「紅葉子」を流通させた山根孝三氏の4人が功労者として知られていますが、誰が元祖かはいまだはきりしていません。
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