日本にキリスト教をもたらしたフランシスコ・ザビエル。
さて、ザビエルのあの独特なヘアスタイルですが、剥げているわけではありません。あの独特なヘアスタイル、実は「トンスラ」といって頭頂部を剃るキリスト教特有のものだったのです。「トンスラ」とは、ラテン語で「髪の毛を剃ること」。
つまり「剃髪」そのもののことを指すわけです。
トンスラ(wikipediaより)
ところが、そもそもザビエルの髪形はトンスラではなかった可能性があります。
学校の歴史の教科書にもよく使用されているこの肖像画、実はザビエルの死後80年ほどたった1619年以降に、日本人によって描かれたものと考えられています。
16世紀の日本には宣教師によって建てられた学校があり、そこでは簡単な宗教画の制作方法も教えていました。ザビエルの肖像画は、学校に持ち込まれた銅板画を基に絵の技法を学んだ日本人によって描かれたものだと考えられています。
ところが、ザビエルの所属したイエズス会にはトンスラの習慣がなかったため、ザビエルの実際のヘアスタイルは、肖像画に書かれていたものとちがっていたのではないかと考えられています。
ザビエルは生前からヨーロッパでは日本以上によく知られており、とくにその死後に聖人に列せられ、彼の肖像画や伝記が出回るようになって以降、ヨーロッパでは様々な人たちによってザビエルの像が描かれるようになります。
ところが、ヨーロッパで描かれたザビエルのほとんどが、トンスラを施していないのです。このことから、私たち日本人が普段から目にしているあのなじみのあるザビエル像は、間違えである可能性が高いのです。
フランシスコ・デ・ゴヤ 『聖フランシスコ・ザビエルの死』(スペイン 17世紀)
果たして、フランシスコ・ザビエルの頭頂部には髪はあったのか、それともなかったのか・・・。真実は、「神のみぞ知る」のです・・・。
参考:ヘアラボmagazine
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