■台所の語源とは?
もともと、「台所」の「台」は、「台盤」のことを指しています。
調理設備があり、「台盤」「御台」が置いてある所だから、「台盤所」(たいばんじょ)、「御台所」(みだいどころ)と呼ばれるようになりました。
後に宮中ではさらにこれが転じて、清涼殿内の女房詰所のことを台盤所と呼ぶようにもなったそうです。「台盤所」、「御台所」、それらが短くなって、「台所」と呼ばれるようになりました。
鎌倉時代頃から使われる例が目立ち始め、その頃から武家でも農家でもかまどのある部屋のことを「台所」と呼ぶそうになったようです。
ちなみに、時代劇なんかを見ていると、将軍の正室を、「御台所」と呼ぶことがあるのですが、これにもいわれがあります。
かつて、平安時代の中頃までは、三位以上の公卿の正室はみな「北政所」と呼ばれていました。ところが、時代が下ると「北政所」は、摂政または関白の正室のみを意味するようになりました。
当然、三位以上の公卿でも大臣や大将の正室には、必然的に別の呼び名が使われるようになり、院政時代になると、そのような正室を御台盤所、またこれを略した台盤所(だいばん どころ)や御台(みだい)と呼ぶようになりました。
鎌倉時代になると、初代鎌倉幕府将軍の源頼朝の正室である北条政子が「御台所」と称されるようになり、以後、慣例的に歴代の将軍正室の呼称となりました。

また、「台所」は地名としても使われています。
筆者の住んでいる町はかつての城下町ですが、「台町」という地名が残っているところがあります。
もともとは、調理場を意味する「台所」から、人物に対する呼称になったり、地名になったり…。
よくよく考えてみると、「台所」という言葉は、おもしろい言葉ですね。
参考文献:KAGAMI & Co『笑える日本語辞典 辞書ではわからないニッポン』
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan