♪せっせっせー、の よいよいよい……おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい!おちゃらか 勝った(or負けた)よ おちゃらか ほい……♪子供の頃、「おちゃらか」というじゃんけん遊びに興じた記憶があります。
公園の椅子に印字された歌詞と遊び方。
二人で唄いながら手を合わせ、じゃんけんして勝った、負けたとリアクションをとるゲームですが、この「おちゃらか」って何でしょうか。なにしろ子供の遊びなのでこれと言った定説もないようですが、諸説を取りまとめて見ると、どうやら唄の歌詞には暗い背景があるようです。
■歌詞の中に込められた意味
この「おちゃらか」の主人公は昔の遊女、貧困のために身売りされた女性が多く、唄は彼女たちの生活の一場面を描写しているそうです。
そこで歌詞を見直しながら、そこに込められた意味を確かめてみましょう。
※諸説を取り混ぜて紹介しています。

葛飾応為「吉原格子先の図」江戸時代
♪せっせっせー、の よいよいよい……これだけだとよく判りませんが、おそらくこんな状況が推測されます。
(せっせと働きなさいよ。まだ宵の口なのだから。さぁ用意して、用意して、用意して……)
おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい!
(ほら、さっそく客がおちゃらかしに来たよ。あの子かな、この子かな、どちらかな……決まった!)
おちゃらか 勝ったよ(or負けたよ) おちゃらか ほい……♪
(どっちの娘が買われたかな?売れ残ったかな?ほれ、もう一度……)
■「勝った方を買ってやろう」悪趣味な旦那の遊び
宵の口、遣手婆(やりてばばあ。遊郭の支配人)が遊女たちを急き立てて出勤させると、さっそく旦那が遊びに来ます。
「今日はどの娘にしようかな……?」

品定めされる遊女たち。
いやらしく品定めする旦那に「選んでもらおう」と、遊女たちはアピールに必死です。たくさんおカネをくれるお客を相手にできれば、早く親の借金を返せて自分も解放されるからです。
そんな遊女たちの思いを知っている旦那は、余興がわりに遊女を二人選んで競わせます。
「今夜は勝った方を買ってやろう」
まるでピカソ(※1)のようですが、かくして遊女二人は壮絶なキャットファイトを繰り広げ……たのかどうか、争う様子をニヤニヤしながら囃し立てていたのでしょう。
「どちら(が勝つ)か、どちらか、おちゃらか……ほれ、愉快々々……」
(※1)ピカソに交際を迫る2人の女性に対して「勝った方と付き合う」と喧嘩をけしかけ、彼女たちの形相をかの名画「ゲルニカ」に描いたと言われています。

そんな実に悪趣味な勝負の結果、買われた方も売れ残った方も、実にやるせない思いだったことでしょう。そんな情景を、無邪気で残酷な子供たちが遊びとして唄い継ぎ、現代に伝えているようです。
※参考文献:
合田道人『案外、知らずに歌ってた童謡の謎』祥伝社黄金文、2002年2月
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan