■黄砂は平安時代から飛んでいた!

6日に西日本や東日本で黄砂が観測されました。黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などの砂や鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来する現象です。


視程の悪化や咳き込みなど日常生活に影響を及ぼすことがあり、この時期、花粉で苦しんでいる人にとって更にダメージをうけますね。

黄砂は平安時代から飛んでいた!朧月夜や春霞などの風流な季語た...の画像はこちら >>


実はこの黄砂、現代特有の起こる現象ではなく、さかのぼれば7万年前から飛来しているといわれ、平安時代には定期的な自然現象の一つとして確認されていました。

■和歌の季語にも

「朧月夜(おぼろづきよ)」は、春の夜に月がぼんやりと霞んでいる様子を表していますね。なんとこの風流な名詞、月が霞む原因が黄砂なんです。

『源氏物語』にも、朧月夜という登場人物がいるほどです。朧月夜は右大臣の娘で身分が高く、朱雀帝の寵愛を受けましたが、大胆にも光源氏と逢瀬を重ねてしまう女性です。

宮中のお騒がせという点で、厄介者の黄砂と被るとこがありそうです。

また、日の光が陰るほどの黄砂を「日薄食」「月薄食」と呼び、日食や月食とは区別されていました。

黄砂は「春霞」とも呼ばれ、春の季語として和歌に親しまれてきました。

・春霞たなびく山の桜花うつろはむとや色かはりゆく
(題・読人不明古今和歌集 巻第二 春歌下)

・春霞たなびきにけり久方の月の桂も花や咲くらむ
(紀貫之 後撰集18)

また、「霾(ばい)」や「黄塵」という表現も。江戸時代の書物などには「霾る(つちふる)」と記載されています。

いずれにしても春の季語として扱われています。


黄砂は平安時代から飛んでいた!朧月夜や春霞などの風流な季語たち、実は黄砂が原因だった


『源氏物語絵巻』(国立国会図書館蔵)

黄色い砂などと呼ばず、風流に一句詠み詠み季節を感じてみる・・・なんて、現代では難しそうですね。

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