6月14日の「認知症予防の日」にあわせ、金町駅前脳神経内科(東京・葛飾区)が2025年6月10日に、院長の内野勝行氏が「問い合わせが増えている」という「スマホ認知症」について解説するプレスリリースを発信した。
「物忘れなどの認知症に似た症状が発生」内野氏によると、「スマホ認知症」とは、スマホを多用することで、一時的な認知機能の低下を引き起こした状態のことだ。
「主婦は、朝食の支度をしながら子どもの身支度を手伝い、食後には掃除や買い物、家計の管理までをこなすなど、一日を通して複数の役割を同時に担っています。そのため、記憶力や注意力が低下すると、段取りの混乱や物忘れやが起きやすくなり、毎日の家事に大きな支障が生じてしまいます」
たとえば、家事でミスする回数が増えたなどのほか、以下の「サイン」には注意が必要だという。
【主婦が自覚する「スマホ認知症」のサイン(例)】
・買い物に来たのに何を買うか思い出せない、買い忘れをする
・料理の段取りが悪く、時間がかかるようになった
・スマホでレシピを見ていたら気を取られ、火を止め忘れた
・家計簿の計算ミスが多くなった
もっとも、主婦に限らず、スマホを手放せない生活を送る人は要注意。以下の危険度チェックリストで、3つ以上の項目が該当すると、危険度が高い状態だという。
【「スマホ認知症」危険度チェックリスト】「ガンマ波」による聴覚からの刺激
・スマホはいつも手元にスタンバイ
・知っている人の名前がすぐに出てこない
・最近、漢字が書けなくなった
・覚えておくために写真を撮る
・スマホ以外で調べものをしない
・いつも睡眠不足状態
・やる気が起きず、興味も湧かない
・仕事や家事の段取りが悪くなった
リリースによれば、「スマホ認知症」の予防・改善方法として手軽なのが「リズム運動」だと指摘し、次のように説明する。
「リズムよく同じ動作を繰り返すと、脳が自然に省エネモードになり、記憶が整理整頓されて脳の疲労回復につながります。『リズム運動』は、毎日の家事の中で実践できるので、あえて特別な時間を設ける必要はありません」
たとえば、「同じ動作をリズミカルに反復する皿洗い」、「キャベツの千切りなど、聴覚に訴えリズミカルに食材を刻む作業」、「腕をリズミカルに動かす雑巾がけ」などが該当する。「トントンという音や刻んでいく感触の『リズムを意識』することで、疲れた脳を効果的に回復させます」という。
一方で、家事をしながら、テレビの音声や音楽などを聞く習慣のある人には、「ガンマ波」による聴覚からの刺激を活用するという手も。「ガンマ波」とは40Hz前後の脳波のことで、記憶や集中力に関係、加齢などにより弱まることが報告されているという(※Trends in Neurosciences 30, 317-324 (2007)., Clinical Neurophysiology 116, 2719-2733 (2005).)。
ガンマ波に着目した技術として「ガンマ波サウンド」があり、これはテレビの音声や音楽を、スピーカーやイヤホンを通じて、ガンマ波と同じ周期に変調するというもの。たとえば、「kikippa イヤホン」(シオノギヘルスケア、25年5月発売)として製品化されており、こうしたガジェットも重宝しそうだ。
そのほかの予防・改善方法として、脳を休める「昼寝」、脳を活性化させる「新聞記事のスクラップ」や、外出時に「知らない道を、スマホを見ずに散歩する」ことも効果的だという。
【取り入れやすい「スマホ認知症」の予防・改善方法】
・短時間の昼寝(脳を休める)
・新聞記事のスクラップ(興味のある記事を探すことで脳を活性化させる)
・知らない道を、スマホを見ずに散歩する(脳の普段使わない部分を活性化する)
・「キャンプ」(デジタルデトックスになる)
・スマホをしまっておく、何かのご褒美としてスマホタイムを与える(スマホとの適切な距離を保つ)
・スマホを見る時は白黒表示「グレースケール」にする(脳への刺激を緩和する)