書類選考、筆記試験、面接――さらにはグループワークやディスカッション。一般的に企業の採用は、こうした選考ステップをいくつか経て行われている。

しかし、このほど従来の選考ステップをとらない新しい「体験型」の選考方法が登場した。参加者がCxO(経営幹部Chief x Officer)役になり、戦略立案や意思決定に挑む「CxOクエスト選考」だ。

コンサルティング事業を展開するクオンティア(東京都港区)が開発したこの選考方式は、今後、日本国内でニーズが増すとされるCxO人材を輩出する施策となるか。

CMOやCTOを体験する中での多角的評価

「CxOクエスト」は、選考対象の参加者一人ひとりにチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)やチーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)といったCxOの役割を担ってもらい、クオンティアの現役コンサルタントがCEO役となり、設定された企業課題に対して、一緒にグループ・ディスカッションと意思決定を制限時間内に行ってもらう選考方式だ。

クオンティアは、「将来の経営者のポテンシャル」とされる戦略思考、意思決定力、合意形成力、リーダーシップなど可視化し、参加者を多角的に評価することで将来の経営人材を発掘したいとしている。

将来のCxOの候補像としてクオンティアが挙げているのは、「正解のない状況でも自ら意思決定できる」、「異なる意見を尊重し、同意形成をリードできる」、「結果に責任をもち、事業と組織を前に進められる」人材だ。

こうしたポテンシャルは従来の履歴書や職務経歴書、面談などの評価方法では捉えきれない。そのため、書類選考はせずに「先着順」で参加者を決定し、当日のパフォーマンスを最重要視するというのが、特徴のひとつとなっている。

さらに、CEO役の現役コンサルタントから、強みや課題についてフィードバックを得ることができる点、CxO役には異なる価値観や信念が設定されており、対立する構造の中でゲーム感覚で取り組めることもユニークな点だ。

成長企業の採用の悩みを企業の内側から解決

クオンティアは、2022年3月の創業以来、コンサルティング事業を展開し、急成長しているが、それを支えている背景にCxOポテンシャル人材を継続的に採用し育成できている点があるという。

成長フェーズにいる企業は、正解のない意思決定に多く直面するが、採用市場では適切な意思決定を下せるCxO人材が不足している。また、米国の研究によると、外部から役員人材を採用するよりも、内部で候補者を育てるほうが高い定着率とパフォーマンスを示すことが分かっている。

また同社は、将来的には社員が経営に積極的に関与する事業投資経営モデルへの移行を目指している。コンサルティングビジネスを通じて経営人財(CXO)を育成し、ジョイントベンチャーやM&Aをした企業の経営者、新規事業の責任者として活躍させたい考えだ。

こうした市場環境や成長環境を踏まえ、従来型の役員採用に依存せず、CxOを企業内で輩出することを目指し、その第1歩として、今回の「CxOクエスト」選考は導入された。この取り組みは、これまでの採用の在り方を問い直し、CxO人材不足という社会課題に対する1つの解となることも目指している。

現場で直面するリアルな葛藤や大変さを反映

今回の選考プログラムは、クオンティア社内の「経営幹部候補制度」に抜擢されたメンバーが中心となってゼロから設計したものだ。

将来の経営を担う候補生が「自分たちが一緒に働きたい人材はどんな人材か?」「経営視点をもつとはどんな人材か」を議論し、現場で直面するリアルな葛藤や意思決定の難しさも盛り込んだ内容となっている。社内でのトライルを複数回実施した上で、修正を重ねて完成させた。

採用担当者は「私たちはコンサルティングを通じて、前例のない課題にも挑み続けられる人材を育成し、その人材が核となって新たな事業をゼロから創り出していきたい」とする。同社は今後、「CxOクエスト選考」を単発の施策ではなく、経営人材輩出の仕組みづくりの中心に据えていき、新卒採用での本格活用や、入社後の研修プログラムへの展開も検討していきたいとしている。

なお、2026年1月31日、「CxOクエスト選考」を体験できる「1Day選考会」がクオンティア本社で行われる。定員は16人。詳細はこちら

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