急速に進む人口減少・超高齢化社会の到来によって生じる課題は全国的に山積みだ。
兵庫県神戸市の場合は、持続可能な地域循環型社会の実現を目指し、多様な取り組みを拡充している。
課題解決を目指して、神戸市は「使える空き家・空き地は、売却や賃貸、地域利用などの活用を促す」「使えない空き家は、解体して土地の活用を促進する」という方針を立て、取り組みを加速させている。
「建築家との協働」で空き家改修に補助金その一環として、使える空き家・空き地に関しては各種の補助制度を展開している。例えば「建築家との協働による空き家活用促進補助」では、最大500万円で空き家の改修費を市が補う。ただし、補助を受けるには、建築家の改修設計で意匠に配慮した魅力ある建築物に再生する、全体または一部を社会貢献のために活用するといった要件で審査が行われる。
ほかに、下町と再開発地区が並ぶ新長田南エリアでは、空き家を活用した起業を支える「新長田シタマチスタートアッププロジェクト」を実施。最大80万円の助成金に加え、事業計画や補助金取得支援、物件選定や起業時の宣伝まで伴走する。これまでにグッズショップや印刷工房、フードパントリーなど11施設がオープンし、町のにぎわいを後押しした。
これらの取り組みを併用した好例が、丸五市場内にできた飲食店兼ギャラリースペース「丸五Spice Up」だ。
そもそも丸五市場は前身が大正7年に始まり、阪神・淡路大震災で新長田が深刻な火災に襲われた時も、当日が定休だったことで残った長い歴史を持つ。
店を立ち上げた株式会社Happy代表・首藤義敬さんによると、昨今は町に移住してくる若者も増えてきたといい、「丸五Spice Up」は地元民との交流につながる「出会いを増やす場所」としての狙いもある。そのほかにも店内には工夫があり、厨房は車椅子が入れるほど広くして、高齢者や就労支援チームを含めて多様な人が日替わりで店頭に立てるようにした。ユニークな試みとして、福祉・医療従事者が来る日も設けており、心身に不安のある人や高齢者が来やすくなる「相乗効果」を見込んでいる。
首藤さんは「神戸市はクリエイティブな制度が多い。ただ単に物件を直すのではなくて、そこに付加価値をつけるということに対して、すごく応援してくれる」と話す。
他方、使えない空き家に関しても、市は解体工事のための補助金を出している(最大60万円、共同住宅は最大100万円)。なお、空き家改修・解体時に出た廃材は、まだ使えるものを古材として有効活用する。苅藻島クリーンセンター内の古材ストックヤード「BIVOUARC(ビバーク)」で製材・加工し、改修やリノベーション、家具リメイクなどにあてるという。施設では展示企画やDIY教室も行っている。
「認知症」支える神戸市、診断助成や事故救済制度を実施市の施策はほかにもある。
65歳以上が自己負担ゼロで検診できる「診断助成制度」と、認知症と診断された場合に利用できる「事故救済制度」を組み合わせ、財源は個人市民税均等割の上乗せ(1人あたり年400円)でまかなうものだ。事故相談に応じる専用コールセンター、行方不明に備えるGPS端末の貸し出しや一部費用負担、身元確認や保護につなげるために二次元コードの「みまもりシール」も配布している。
救済制度では、最高2億円の保険金が支払われる賠償責任保険に無料で加入でき(市が保険料を負担)、事故に遭った市民に最高3000万円の見舞金(給付金)を支給する。市の担当者によると、保険金が出たケースでは「本当に入っておいて良かった」という声も。最近は水を出したことを忘れたまま外出、浸水し、階下の壁紙・天井の張り替え費用が生じるような「水漏れ事故」が多いと説明した。
新しい終活支援としては、25年10月に「こうべ終活相談窓口」を開設したばかり(要予約)。独自の「エンディングシート」を用いて、相談員または弁護士・司法書士による専門相談を行い、必要に応じて関係機関につなぐという。同時期には「終活情報登録制度」を開始。頼れる身寄りのない高齢者を対象に生前の葬儀・納骨契約を支援する「エンディングプラン・サポート事業」の所得要件を撤廃した。これは行政が契約に立ち会う安心感が支持されているという。また、期限付墓地、合葬墓の整備を進め、26年夏には樹林葬墓地の提供も始める予定だ。

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