アゴを突き出し、腕を首の前に持ってくるコミカルな動きで、幅広い世代に知られている。
「手話ニュースで志村けんさんを表現する時にアイーンしててびっくりした」
あるツイッターユーザーが2020年3月30日に投稿したツイートだ。Eテレで放送されている「NHK手話ニュース」の中で、志村さんの訃報の際にキャスターが「アイーン」をしている姿を目撃したという。このツイートは3月31日17時30分時点で2万リツイートを超え、「マジか」「見たかった!」という声が聞かれている。
「NHK手話ニュース」の公式サイトでは、過去数日分の放送が動画で見られる。J-CASTトレンド編集部は、3月30日分の動画から「新型コロナによる肺炎志村けんさん死去」というタイトルのニュースを確認した。映像では男性キャスターが志村さんの訃報を伝える際、一瞬だけ手をのど付近に当てるしぐさを見せた。しかし、明確に「アイーン」と言えるポーズには見えなかった。
そこで、3月30日13時~13時5分にEテレで放送された「NHK手話ニュース」の録画映像を確認してみる。トップニュースは志村さんの訃報だ。「コメディアンの志村けんさんが...」と流れた際、キャスターの八百谷梨江さんは右腕を折りたたんで首の前に持ってくる動きを見せた。これは、正真正銘の「アイーン」ポーズに違いない。
インターネット上では、この「アイーン」ポーズが手話において「志村けん」を意味しているという説が広がっている。手話には特定の人物を表す際、その人の特徴やしぐさを簡単な手話で表現する「サインネーム」がある。「アイーン」が「志村けん」を指すのも、サインネームの一つだとの主張だ。
手話に関する研究などを行う社会福祉法人全国手話研修センター(京都市)の小出新一・常務理事に取材すると、
「『アイーン』という手話そのものはない。また、志村けんさんのサインネームが全国的に固定されているというわけではありません」
と、あくまで公式な手話ではないと指摘する。
その上で、
「志村さんの場合は、音声だけではなくて身振り、表情も含めて表現される縁者さん。耳が聴こえない人にとっても、(志村さんの芸を)見られる方は多いと思う」
とし、NHKのキャスターが「志村けん」という人物を耳の不自由な人にも理解しやすいよう伝えるため、独自に「アイーン」のサインネームを使ったのではないかと見解を示した。<J-CASTトレンド>