著作権とは、特許権や商標権などとともに「知的財産権」と呼ばれる権利のひとつであり、著作権者が、著作物を利用しようとする人に対し、その利用を許諾したり、禁止したりできる権利のことを言います。特許権や商標権は登録することによってはじめて権利が保障されますが、著作権については、権利の取得にあたって登録などの手続は必要でなく、著作物を創作した時点で当然にその権利が発生します。著作権を保護する目的は、音楽や絵画、小説、映画などの著作物にかかわる権利を守ることによって、文化を発展させようとする点にあります。
著作権がある著作物について、著作権者の許諾を得ないまま無断で利用することは、著作権侵害にあたります。この場合の刑事罰は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金という厳しいものです。ただし、著作権者の許諾なくして使える場合があります。それは著作権法で認められている「私的使用のための複製」の例外です。
自作UTは「私的使用のための複製」にはあたらない「私的使用のための複製」とは、個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用するために複製することを言います。例えば、マイカーの中で聞く目的で、音楽CDからMP3などに音楽をダビングする行為がこれにあたります。これは私的利用のために著作物を複製する程度であれば、著作権者にそれほど大きな経済的損失を与えることもなかろうという見地から認められた例外です。
では、自作UTの場合はどうでしょう。世界でたったひとつしかない自分だけのオリジナルTシャツですし、自分が着て楽しむ目的のものですから、「私的使用のための複製」として許されるのじゃないか、とも言えそうです。
しかし、「私的使用のための複製」と言えるためには、私的使用をする人自身(家族など身近な人を含む)の手による複製が必要です。たとえば、自宅のパソコン・プリンターで印刷する場合には「私的使用のための複製」と言うことができても、企業が業務として行う複製はこれに該当しません。ですから、残念ながら、たとえ個人的に楽しむことだけが目的の自作UTでも、「私的使用のための複製」にはあたらないことになります。
自作UTの商品化でユーザーに著作権料が入る可能性も自作UTと著作権の問題についてさらに言えば、当初の規約では自作UTの著作権がユニクロに無条件で譲渡される仕組みになっていました。自作UTのデザインに人気が出た場合などにユニクロが勝手に商品化してもユーザーは何も文句を言えないシステムです。この問題点が強く指摘されたため、ユニクロは早々に規約を変更したうえ、著作権がユーザーに帰属することを明らかにしました。
これは、将来、自作のオリジナルTシャツが商品化され、ユーザーに著作権料が入る可能性があることを意味します。いずれにせよ著作権というものが、私たち暮らしにたいへん身近なものであることを感じさせる社会現象と言えるでしょう。