AIに仕事を奪われる前に知るべき「エクセル×AI」の意外な威...の画像はこちら >>

逆説的だが、AI時代にこそエクセルが必要になる理由

「AIの時代にエクセルなんて古い」

そう思っている会社員は多いはずです。しかし実際は、その真逆のことが起きています。

都内の中堅商社で働く田中さん(45歳)は、AI導入が進むほどエクセルの重要性を実感しているといいます。「AIは適切にアウトプットしてくれますが、そのデータを理解し実際の業務に活かすためには、エクセルでの基本的なデータ処理能力が不可欠だと痛感しました」

実は、AIが普及すればするほど、エクセルのような基礎的なデータ処理スキルの価値は高まっているのです。AIに出力させることは誰でもできますが、AIが出力する膨大なデータを理解し、実際の業務に落とし込むためには、データを読み解く基本的な能力が必要だからです。

この逆説的な現象は、多くの会社員が見落としている盲点です。AIに仕事を奪われる心配をする前に、この2つの武器を掛け合わせることで、むしろ自分の市場価値を高めることができるのです。

多くの会社員が陥る「AIを学ばなければ」の思考の罠

問題は、多くの会社員が「最先端の技術であるAIを学ばなければ」という思考に陥っていることです。そのように焦る一方で、「エクセルのような基本的なデータ処理能力」を学ぶことに意識が向きません。

現実は違います。成果を上げている会社員は、AIとエクセルを組み合わせて使いこなしています。AIが得意な大量データの処理と、エクセルが得意な柔軟な分析・可視化を使い分けることで、これまでにない生産性向上を実現しているのです。

年収450万円から700万円の会社員にとって、どのスキルに投資すべきかは重要な判断です。だからこそ、すでに持っているエクセルスキルを土台に、AI活用へと段階的にステップアップする戦略が現実的なのです。

エクセル専門家が語る「AI時代の新常識」

瞬習エクセルアカデミー代表のいしはらゆうと氏は、この現象についてこう解説します。

「多くの人がAIに仕事を奪われることを心配していますが、実際にはAIとエクセルの相乗効果で、むしろ仕事の質が向上しています。AIが複雑な関数を自動生成してくれたり、データの不整合を自動で検出してくれたりすることで、エクセル作業の効率が劇的に向上するのです」

いしはら氏によると、AI時代に必要なスキルは5つあります。問題解決力、データリテラシー、コミュニケーション力、創造性、そしてAIリテラシーです。これらすべての土台となるのが、エクセルでのデータ処理能力だといいます。

「営業部門では、例えばAIを活用し、顧客の購買パターンを分析し、エクセルで見やすいダッシュボードを自動作成するといったことが可能です。AIが『手足』として、エクセルが『思考の場』として、人間が『頭脳』として機能する連携が、新しいスタンダードになっています。ただし、そもそもエクセルの基本的な使い方が分からなければ、手足であるAIを活用し見やすい表を作るなどということは不可能です。」

実践的な活用法:明日から使える3つのステップ

では、具体的にどうすればいいのでしょうか。いしはら氏が推奨する段階的なアプローチは以下の通りです。

ステップ1:エクセルの基礎固め

SUMやAVERAGEなどの基本関数とIF関数・VLOOKUP関数といった少し応用的な関数を実務で使える内容に絞って学習します。コツは時間をかけないこと、一気に学ぶのが良いです。関数をマスターすれば、エクセルの基本が分かります。

ステップ2:AI連携の実践

ChatGPTなどのAIツールにエクセル関数の作成を依頼する練習をします。例えば、「3年間の売上データから成長率を計算する関数を作って」など会話のように指示すれば、複雑な関数が自動生成できます。

ステップ3:価値創造への発展

AIによるデータ分析結果を、エクセルで分かりやすく可視化し、チームや上司、顧客への提案資料に活用します。

行動しない人との差は10年後に明確になる

厳しい現実をお伝えします。この変化についていけない会社員は、確実に取り残されます。一方で、エクセルとAIを使いこなせる会社員は、社内での評価が高まり、転職市場でも重宝される人材になるでしょう。

ただし、過度な心配は不要です。必fげfge要なのは、今から少しずつでも行動を始めることです。エクセルスキルが不安な方は1日30分でも、まずエクセルを学んでみる。そして慣れてきたらエクセルとAIの組み合わせを試してみる。その小さな積み重ねが、1年後、3年後の大きな差につながります。

AI時代の到来は脅威ではありません。

むしろ、これまで以上に価値のある仕事ができる機会です。エクセルという身近なツールから始めて、AIという強力なパートナーとの連携へ。その第一歩を踏み出すのは、まさに今なのです。

インタビュー協力 :瞬習エクセルアカデミー いしはらゆうと氏

(新井 一/起業コンサルタント)

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