深刻化している“第3波”ともいわれる新型コロナウイルスの感染拡大。11月18日には1日あたりの新規感染者が初めて2千人の大台を突破し、25日には重症者数が全国で376人と過去最多を更新した。
そんななか、今回の“第3波”で特徴的と言われているのは「高齢者の感染が激増している」点だ。
以前は“若者を中心に、夜の街などでクラスターが発生している”などといわれてきた。しかし11月24日の大阪府新型コロナ対策本部会議では“第2波のときは40歳以上の陽性者が全体の34%だったが、今回は57%にまで急増している”といった内容の資料が出されていたのだ。
さらに感染者数だけでなく、重症化率も問題となっている。厚生労働省の11月28日付発表資料によると、40代の重症化率は30代の4倍。さらに50代では10倍、60代だと25倍になるというのだ。
なぜ、こうした現象が起きているのか。公衆衛生学に詳しい、関西大学社会安全学部の高鳥毛敏雄教授はこう語る。
「高齢者の感染が増えたというより、すべての年齢層で感染が広がってきたということでしょう。その結果、以前は少なかった高齢者の感染が増えているように見えるということだと思います。
第1波の感染者は屋形船に乗った人など、あくまで個人レベルでした。しかし第2波になると、個人から集団という形に拡大。
そして今回の第3波は、もはや個人や集団で区別できる段階ではなくなったということ。つまりどんな場所でも、どの年齢層でも感染者が存在するようになってきたのです」
こうして老若男女に感染が広がったことで、抵抗力のない高齢者の重症化するケースが目立ってきているという。
兵庫医科大学感染制御学の竹末芳生主任教授はこう話す。
「兵庫県内でも感染者が急増していますが、明らかに高齢者の比率が増えてきています。呼吸器系の疾患や糖尿病を抱えている人は、新型コロナに感染した際に合併症を起こしやすいといわれています。高齢者はこうした疾患を抱えていることが多いため、重症化するリスクも高いのです」
では、どうすればいいのか。前出の高鳥毛教授は、高齢者が第3波を乗り切る指針を話す。
「1日の新規感染者数は2千人を超えるなど、第2波のときと比べて桁が1つ違うレベルになってきています。しかも症状の出ている感染者が1人いたら、無症状の感染者はその4倍はいるといわれていますからね。実際はさらに多くの感染者がいると予想されます。
GoToキャンペーンをやめるべきだという意見もあるようですが、ここまでウイルスが社会に蔓延した状態では焼け石に水でしょう。
コロナは一過性の台風ではありません。今後も続くマラソンのようなものです。政府の対応や特定の対策に期待できない以上、私たちは個人で感染防止の意識を高めていくしかありません。
ウエットティッシュを持ち歩き、人がいるところではマスクをつける。せっけんやアルコールでの手洗いなどの予防策を、当たり前の習慣のように生活の中に取り入れていく必要があるでしょう」
「女性自身」2020年12月15日号 掲載

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