ある日、突然やってくる家電との別れ……。修理や買い換えるまでの不便はもちろん、出費もバカにならない。
「10年前に家を建てたタイミングで家電をすべて買いそろえました。昨年暮れに突然、食洗機に水漏れのサインが出てピクリとも動かなくなったのが予兆でした。1月には居間のエアコンの暖房が急に効かなくなり、基板交換で2万円の修理代が……。それから2週間後に、テレビ画面にピンクの影が走ったかと思ったら、突如真っ暗に。電源スイッチを押してもまったく反応せず、問い合わせたら『部品がないため修理はできません』と。子どもの高校入学を控えお金がかかる時期に買い換えか……と思いながら、ドラム式の洗濯機の電源を入れたがウンともスンともいわない。『洗濯機も壊れた!』という悲鳴に近い声を聞きつけたリモートワーク中の夫が『家電故障クラスターだ』とつぶやきました」
それまで普通に使っていた家電がドミノ倒しのように次々と、ある日突然動かなくなっていく様子を、東京都在住のAさん(52)は、肩を落としながら語ってくれた。
次がデジタル&家電ライターのコヤマタカヒロさんが長年の取材をもとに示してくれた家電の一般的な寿命である。冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの“生活必需”家電を中心に、家電の耐用年数が10年前後となっている。
■“生活必需”家電
【冷蔵庫】寿命:9~11年目/長持ちさせるためのワンポイント:庫内の温度変化が激しくなる開閉数は少なめにする。
【テレビ】寿命:9~10年目/長持ちさせるためのワンポイント:つけっぱなしは故障の原因に。
【洗濯機(ドラム式)】寿命:8~9年目/長持ちさせるためのワンポイント:モーターに負荷がかかってしまうため、排気フィルターのほこりや糸くずをためない。掃除を毎回する。
【洗濯機(タテ型)】寿命:9~10年目/長持ちさせるためのワンポイント:モーターに負荷がかかってしまうため、排気フィルターのほこりや糸くずをためない。掃除を毎回する。
【エアコン】寿命:8~10年目/長持ちさせるためのワンポイント:湿気が故障の原因。シーズン終わりに送風運転を数時間行い、内部を乾燥させる。
【電子レンジ(スチーム式)】寿命:8~10年目/長持ちさせるためのワンポイント:使用頻度を減らす。数十秒の「ちょい温め」でも寿命が短くなる。クエン酸洗浄、清掃などメンテナンスも。
【電子レンジ】寿命:6~8年目/長持ちさせるためのワンポイント:使用頻度を減らす。数十秒の「ちょい温め」でも寿命が短くなる。
【炊飯器】寿命:14~16年目/長持ちさせるためのワンポイント:中でコメを洗うと、内釜のコーティングがはがれる原因に。
【給湯ポット】寿命:13~15年目/長持ちさせるためのワンポイント:定期的なクエン酸洗浄で清潔に保つ。
【掃除機】寿命:14~16年目/長持ちさせるためのワンポイント:汚れやほこりをためたままにしない。
■自宅にほしい便利家電
【掃除機(ハンディタイプ)】寿命:11~13年目/長持ちさせるためのワンポイント:汚れやほこりをためたままにしない。バッテリーを交換するだけで寿命アップに。
【掃除機(ロボットタイプ)】寿命:10~12年目/長持ちさせるためのワンポイント:汚れやほこりをためたままにしない。バッテリーを交換するだけで寿命アップに。
【加湿器】寿命:4~5年目/長持ちさせるためのワンポイント:かびや汚れが“寿命”に。安いものもあるので、1年に1回買い換えてもOK。
【加湿器付き空気清浄機】寿命:7~9年目/長持ちさせるためのワンポイント:定期的なフィルター交換&清掃で寿命が延びる。
【食洗機(ビルトイン)】寿命:9~10年目/長持ちさせるためのワンポイント:水漏れ防止のパッキンはこまめに掃除する。
【食洗機(卓上)】寿命:8~9年目/長持ちさせるためのワンポイント:水漏れ防止のパッキンはこまめに掃除する。食器類にひどい油汚れがある場合は軽く拭きとってから入れよう。
■情報家電
【パソコン】寿命:4~6年目/長持ちさせるためのワンポイント:サポート終了もあり、ソフトが対応しないことで、使い勝手が落ちる。
【スマートフォン】寿命:3~4年目/長持ちさせるためのワンポイント:使用頻度が高いとバッテリーが消耗してしまう。
※「寿命」はあくまで目安であり、製品の種類や使い方によって大きく前後します。
実は、家電“故障クラスター”が今年、大量発生する可能性が高いという。
「’09年から’11年にかけて、テレビやエアコン、冷蔵庫を省エネ性能の高い製品に買い換えるとポイントがつく『家電エコポイント制度』が実施され、家電を買い換えた人が多くいました。’11年にアナログ放送が終了し、地上デジタル放送に移行するタイミングも重なりテレビも大量に売れました。そのときに買い換えた家電がちょうど10年を迎えるのです」(コヤマさん・以下同)
まず注意すべきなのは冷蔵庫だという。
「故障した場合、食品すべてがダメになってしまいます。さらに、ほかの家電なら買い換えて1週間後に届くといわれてもなんとか耐えられますが、冷蔵庫は急を要します。
寿命を少しでも延ばすには、冷蔵庫の心臓部であるコンプレッサーに負担をかけないようにする必要がある。そのためには、開閉回数を少なくし、詰め込みすぎないようにすること。洗濯機が壊れた場合も、不便が多い。
「乾燥機能がない洗濯のみのタテ型洗濯機は、比較的シンプルな構造なので、10年を過ぎても頑張っている場合は少なくないです。しかし、ドラム式洗濯機は、乾燥機能や安全装置などで高機能になっているぶん、故障が多くなり耐用年数が短くなってしまう。洗濯機の買い換え費用も高額になります。フィルターをこまめに掃除して、できるだけ寿命を延ばしたほうがいいでしょう」
このコロナ禍で、“ヘビロテ”されている家電にも注意しよう。
「巣ごもり需要で内食が増加したことで電子レンジを活用している人も少なくありません。電子レンジは使った回数で寿命がきます。1分温めても10秒温めても同じ1回。数十秒の“ちょい温め”を何度も繰り返していると、その分、耐用年数が短くなってしまうのです」
コロナ禍で需要が伸びた加湿器は構造自体がシンプルなので4~5年は使い続けられるが……。
「加湿器は、かびが発生しやすく、汚れもつきやすい。安いものも増えているので、1年ごとに買い換えてもいいかもしれません」
最後に、コヤマさんはこうアドバイスをくれた。
「それぞれの家電の寿命を把握して、計画的に買い換えていくことも大切です。そのために、私は500円玉貯金をして、それを家電買い換え費用として確保しています」
「女性自身」2021年3月16日号 掲載