4月12日、65歳以上の高齢者に向けた新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。だが「これでコロナを予防できる!」と喜びの声が上がったのもつかの間、各自治体で予約申し込みが殺到。
「ワクチン接種にはまず、各自治体から届く『接種券』が必要です。これを受け取った後、電話やネットなどで予約。会場で予診票の記入や医師からの問診があり、そこでようやくワクチン接種という流れになっています。
しかし、ほとんどの人が “予約”の段階でつまずいてしまっているのです。八王子市では高齢者の約1%分しかワクチンが供給されず、受付け開始直後から電話がつながりにくい状態に。ネットでの予約も、わずか20分で終了しました。程度の差こそあれど、多くの自治体が似たような混乱状態だったといいます」(行政関係者)
激しい“争奪戦”になっているワクチン接種。プラチナチケットを入手するような困難さだが、一部で懸念されているのが“チェイサー”と呼ばれる人たちの存在だ。
チェイサーとは接種対象ではないものの、キャンセルなどで廃棄されるワクチン目当てに接種会場を訪れる人たちのこと。アメリカでは、こうした人たちが現場に殺到する様子も報じられている。
■「しっかりとした免疫がつかない」
のぞみクリニックの筋野恵介院長はこう語る。
「日本では、そもそも完全予約制でワクチンを接種することになっています。だからもし仮にキャンセルが出たとしても、病院側はそのまま破棄か次の予約者に連絡して回すかを選ぶはず。当日に現場で廃棄されるワクチンを見つけられる可能性は、ほぼ無いかと思います。
また日本では1回目の予約段階で、2回目の分も3週間後に予約します。ただ飛び入りの場合、この間隔がもっと空いてしまうこともあるでしょう。しかしそうなると、しっかりとした免疫がつかないのです。しかも接種券は2回分だけなので、追加で接種ができません。そうしたリスクを考えると、飛び込みで入る行為は控えたほうが良いでしょう」
つまり日本では、わざわざ会場に出向いても徒労に終わる可能性が高そうだ。
「厚生労働省のホームページには《当初は実施する市町村や接種する人数が限られており、順次拡大していきます。5月以降には多くの高齢者の方々に接種を受けていただける見通しです》と書かれています。実際に八王子市では6月末までに、すべての高齢者へ接種できるだけのワクチンが届く予定だそうです。
むやみに現場を訪れても、逆に感染リスクが高まるだけ。
「女性自身」2021年4月27日号 掲載