「老後資金も不安だし、今年こそパートに出よう」と思ってはや幾年……。専業主婦にとって、社会復帰は怖いものだ。
「最近カルチャーセンターでは講座を開いても、平日の昼間だと50~60代の方が集まらないのだそう。その理由は、パートを始めた人が多いからなんです」
こう語るのはファイナンシャルプランナーの寺門美和子さん。アラフィフ女性の相談者や友人、知人からも「パートに出たい」という声を聞くようになったという。だが、いざ働こうと思っても、「何年も働いていないのに、ちゃんとできるかな」と、最初の一歩を踏み出せない人も多いそう。
「昭和の時代は、学校や職場で、完璧じゃないものを見せると怒られました。そのため、50代女性は世代的に完璧主義の傾向が強い。そして、その“完璧でなければ”という思い込みから、パートへの応募を躊躇しがちなのです」
だが、過度に不安に思う必要はないという。
「今の社会、特に若い世代は、最初から完璧を目指さず、トライ&エラーを繰り返し、修正しながら完璧を目指していきます。わからないことがあれば聞けばいいし、失敗したら学べばいいんです。働いてみて自分に合わなければ、すぐに辞められるのがパートのいいところでもあります。重く考えず“とりあえずやってみよう”という軽い気持ちでまずは飛び込んでみてほしいです」
先輩パート主婦たちの声にも耳を傾け、一歩踏み出してみよう。
■「大学生だらけの職場も意外と楽しい!?」アイスクリーム販売Aさん(52)/ブランク:7年
「子育てが一段落すると、家での時間を持て余すようになってしまって。
“余りを持ち帰れるかも”と子どもにせがまれ、アイスクリーム店に応募。同世代の主婦は3人くらいで、あとは高校生、大学生のアルバイトが十何人もいる環境だった。
「こんなに若いコに囲まれる経験は初めてで……。でも、面接の段階で『先輩が若いコになります。そういうコたちに教わるのは大丈夫ですか?』と聞かれていたから、心構えはできていました」
年下の先輩からは怒られることもなく、オーダーを間違えてアイスクリームを廃棄するときも『たまにあるんですよね』と笑って許してくれる。
「最初から打ち解けるのは無理ですが、次第に慣れ、今では本当に親しくなりました。『飲みに行きませんか』って誘われたり『彼女へのプレゼントって、何買えばいいですか』とか恋愛相談を受けたりしています。おばちゃん相手だと、悩みを話しやすいみたいです。オフの日はみんなでドライブに行くこともあります。車を持っているのは私しかいないので、運転手は私ですけど(笑)」
自由に使えるお金ができたことも、パートを始めてよかったこと。
「以前は夫に『母の誕生日プレゼントを買いたい』と、遠慮しながら頼んでいたけど、今では堂々とお金を使えるようになりました」
「女性自身」2021年5月25日号 掲載