「老後資金も不安だし、今年こそパートに出よう」と思ってはや幾年……。専業主婦にとって、社会復帰は怖いものだ。

勇敢にもパート復帰した主婦が語る体験談からは令和の“寛容”な職場事情が見えてきたーー!

「最近カルチャーセンターでは講座を開いても、平日の昼間だと50~60代の方が集まらないのだそう。その理由は、パートを始めた人が多いからなんです」

こう語るのはファイナンシャルプランナーの寺門美和子さん。アラフィフ女性の相談者や友人、知人からも「パートに出たい」という声を聞くようになったという。だが、いざ働こうと思っても、「何年も働いていないのに、ちゃんとできるかな」と、最初の一歩を踏み出せない人も多いそう。

「昭和の時代は、学校や職場で、完璧じゃないものを見せると怒られました。そのため、50代女性は世代的に完璧主義の傾向が強い。そして、その“完璧でなければ”という思い込みから、パートへの応募を躊躇しがちなのです」

だが、過度に不安に思う必要はないという。

「今の社会、特に若い世代は、最初から完璧を目指さず、トライ&エラーを繰り返し、修正しながら完璧を目指していきます。わからないことがあれば聞けばいいし、失敗したら学べばいいんです。働いてみて自分に合わなければ、すぐに辞められるのがパートのいいところでもあります。重く考えず“とりあえずやってみよう”という軽い気持ちでまずは飛び込んでみてほしいです」

先輩パート主婦たちの声にも耳を傾け、一歩踏み出してみよう。

■「お客様に怒られ涙。

でも周囲が支えてくれた」介護ヘルパーCさん(53)/ブランク:19年

「社会的なつながりが欲しくて、チラシやスマホで求人を探していました。求人チラシを切り抜いてはおくのですが、“本当に私にできるの?”って不安が勝って、なかなか電話できないんですよ。近所の介護施設に電話するまでに半年もかかってしまいました(笑)」

当初希望していたキッチンの仕事は別の人に決まっていたが「介護ヘルパーは募集しています。どうですか」と声をかけられた。

「近所に住む母も、要介護1の状態。“もしかしたら母の介護に役立つかも”と考えて、思い切って介護職に飛び込んでみたんです」

最初は週4日のうち、2日は仕事で、残り2日は介護職員初任者研修を取得するための学校通い。

「学校では友達ができて楽しかったんですが、実際の介護現場は授業とは違います。初めて送迎のお仕事をしたとき、利用者さんを車いすに乗せることができず、ご家族から『できないヤツをなんで連れてくるんだ!』と怒られて、その場で泣いてしまいました」

ここで支えとなったのが、施設スタッフからの『ごめん、まだ早かったね』『あのお宅に行かなくていいから』というフォローだった。

「それに職場の同年代のパート仲間とも仲よくなりました。お昼休憩のときにお弁当を食べながらおしゃべりするのが楽しくて。『○○さんはこうしたほうがいい』『××は大変だったね』と会話すると、ストレス発散にもなるし、対応の仕方も勉強できました」

体調を崩してしまい、2年ほどでその職場は離れることになった。母親の介護にはパートの経験が生きているという。

「体調が戻ったので、今は新しい職場で働いています。今回は求人を見て、すぐ応募できました」

「女性自身」2021年5月25日号 掲載

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