「リリース当初、ネットでは賛否があり“ゴミ”と言われることもありました。けれど、おかげで仕入れ業者の方が注目してくださり、『いろんな意味で話題性があるのだから、発注したい』との声をいただいています」
そう語るのは、株式会社ブライトリンク代表取締役社長・佐藤明香里さん(25)。
《超欲しい!》《コンプリートせねば》と発売を楽しみにする人がいる一方で、《もはや何が売れるかわからない世界に…》《これって鶴なの?》と困惑した感想も……。商品制作に携わった佐藤さんに、開発意図を聞いた。
「この商品は5人のギャルが実際に折った鶴を手折りで再現したもの。いまはモデルの原型を作っている段階で、今後忠実に再現するために、分解、分析、マニュアル化を行っていきます」
1回300円で、折り鶴だけでなく同梱するQRコードからメイキングの動画も楽しめるようになるという。
「ギャルが折った折り紙」は、思わずムフッと笑っちゃうモノづくりを行うプロダクト開発チーム・専業ムフさんとブライトリンクのコラボレ―ション企画だ。“他社が真似できないぶっ飛んだものをつくりたい”と考えた佐藤さんが専業ムフさんに企画のタイアップを依頼。すでに他社から発売されている折り鶴のフィギュアとは一線を画す、“少し形の崩れた折り鶴を”をテーマに据え、敢えて手折りで再現する“生々しさ”を売りにした企画が誕生したという。
「“なにかを崩してあるものにはかわいらしいものが多い”という専業モフさんの提案を受け、ガチャの商品として“ちょっとヘタな折り鶴”があってもいいんじゃないかというところに至ったんです。実際に、ギャルが折った折り鶴の提案を受けたときには“間違いなくバズる!”と思い、即商品化を決定しました」
確かに「ギャルが折った折り鶴」はブライトリンクのブランド方針である「最高にクレイジー」なモノづくりにぴったりの商品だ。さらに、カプセルトイにおいて、バズることは非常に重要な要素だと語る。
「弊社は業界内では最後発に近い企業です。
コロナ禍でも年間400億円超まで市場を拡大するカプセルトイ業界。販売機を多数そろえた大型専門店が続々登場し、その商戦は熾烈を極める。そんな中で、ブライトリンクのターゲットである若年層にとっては、“SNS上でバズってしまう商品のクレイジーさ”は、商品を認知してもらうきっかけとしても大きな役割を果たすのだ。
「まずはSNS上でバズって彼らにリーチし、この商品が欲しいと思っていただく。そして実際にガチャガチャを回しに行き、商品を楽しんでもらう。そうやって、私たちの商品を知っていただきたいです」
■「コーン約指輪」で実際にプロポーズする人も
ブライトリンク社はもともと、水やりや剪定が不要な「ドライ盆栽」を販売する企業。佐藤さん自身も、カプセルトイとは無縁の人生だったという。
「ドライ盆栽の認知度を上げるためにどうして行こうかと考えていたとき、たまたま見ていたニュースで、空港のカプセルトイ売り場で外国人が小銭を落としていくというレポートがありました。その中に盆栽を入れたらウケるのではと思ったのが、カプセルトイ事業を始めるきっかけです。
実際に商品化してみると、『本物の盆栽が入っているのはユニークだ』ということで、朝の番組の注目ランキングで第1位に。はじめての商品が取り上げられたことにとっても感動しました」
その後、‘21年2月にカプセルトイ業界に本格参入。ユニークな商品を多数開発してきた。
「『ホテルキー』という商品はレトロなホテルの鍵のミニチュアバージョン。40~50代をターゲットに想定していたのですが、意外にも若い方の間で『エモい!』と好評いただきました。累計で10数万個売れています。百人一首の形をしたポケットティッシュケース、『百人ティッシュ』も人気ですね」
12月に再販されたトウモロコシ(コーン)のついた指輪「コーン約指輪」も、大人気商品のひとつ。1回で7万個の注文が入ったという。
「コーン約指輪は今年のGWあたりに告知を開始したのですが、それを見たお客様から『コーン約指輪でプロポーズしたい』『婚約したい』とのお問い合わせをいただいたんです。販売を始めるのは7月からだったので、特注でつくってご提供しました。するとその後、写真を撮って『本当に婚約しました!』と報告してくださって、とっても嬉しかったです。それをきっかけに、7組程おめでたいご報告を受けています」
ちなみに、百人ティッシュやコーン約指輪などの“ダジャレ”ネーミングにもこだわりがあるという。
「私もダジャレは好きなんですがーー。日ごろ、馴染みのあるものに、洒落があると『おっ』と思って、人の目に留まりやすくなるのではと考えています」
次はどんな珍カプセルが飛び出すのか……! 今後の商品開発も楽しみで仕方ない。