「4~5月の制度改正に伴い、50代でもiDeCo(イデコ)に加入するメリットが出てきました。運用次第でもらえる年金額を年50万円以上増やせる可能性もあります」

そう話すのは、『1時間でわかるiDeCo~50代から始める安心投資』(技術評論社)の著書もある確定拠出年金創造機構代表の野原亮さん。

50代に突入すると、老後の年金生活がにわかに現実味を帯びる。今、「将来の年金が少ない」と不安に感じる主婦やフリーランス女性は、自分で積み立て運用する私的年金「iDeCo」への加入に興味を示しているという。

「iDeCoは、自分で設定した金額で投信を選ぶ『積み立て』です。利点は、運用して増えても『非課税』であること。さらに積み立てた掛金は所得控除が受けられ、『節税効果』もあります。法改正で加入できる年齢が60歳から65歳未満となり、期間が長くなった分だけ長期運用できるので、年金を増やすラストチャンスです」(野原さん・以下同)

さっそく始めたい! と思った人は、まずは口座開設から。

「三菱やみずほなどのメガバンクや都市銀行、地方銀行、証券会社など選択肢がありますが、店舗のある金融機関であれば窓口で相談してみましょう。ネットを使えるなら、証券会社の楽天、SBI、マネックスが扱う商品数も多くおすすめです」

ステップは、〈1〉運用する金融機関を決定、〈2〉iDeCo専用口座を開設、〈3〉運用商品を選ぶ、と簡単。

そこで、「どれを選んだら?」という人向けに野原さんが「堅実派」「夢見る派」向けにおすすめ商品をセレクトした。

■堅実派

【「お金」に対する考え】

老後資金のため元本は減らしたくない
激しい値動きより安定感
ローリスクで堅実に増やしたい
1~3%くらいの利回りがあればうれしい

【iDeCoの商品を選ぶなら】

全世界株式を1点買いし長期保有。世界中にある投資可能な市場をカバーする、究極の分散投資につながる銘柄を選べば、あまり注視せず持っていられる。

【野原さんイチ推し銘柄】

SBI・全世界株式 インデックス・ファンド(雪だるま〈全世界株式〉)
楽天・全世界株式 インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド〈全世界株式〉)

■夢見る派

【「お金」に対する考え】

余剰金をさらに増やしたい
値動きを見て一喜一憂も辞さず
リスクを取っても一獲千金を夢見る
資金が2倍以上になるとうれしい

【iDeCoの商品を選ぶなら】

「日本株」「先進国株」「新興国株」に分散投資。

日本の東証一部上場企業、米有名企業500銘柄で構成された投信、期待される新興国市場の投信など、リスクの異なる銘柄3~5本以上を組み合わせて運用すると、変動が楽しめる。

【野原さんイチ推し銘柄】

日本株式 eMAXIS SIim国内株式(TOPIX)
ニッセイ日経平均 インデックスファンド
先進国株式 eMAXIS SIim米国株式(S&P500)
新興国株式 eMAXIS SIim新興国株式インデックス

※取扱い金融機関:SBI、楽天、マネックス、都銀、地銀など。扱う商品は金融機関により若干異なる。開設した金融機関でこれらの銘柄を扱っていなかったら 、類似銘柄はどれか尋ねてみよう。

「資金が少額の人や、ほったらかしておきたい人は『堅実派』が賢明だと思います」

今回「堅実派」には、全世界のファンドを集めた投信2本を推奨。

「投資の鉄則は分散投資ですが、堅実派向けの全世界型は究極の分散投資。どちらかというとSBIの『雪だるま』のほうが、よりきめ細かく世界中をカバーしています」

一方、「夢見る派」はどうか。

「投資先のおすすめは『先進国』『新興国』『日本』。「低コスト」であることを基準に3~5本程度を組み合わせることを推奨します」

個別に推奨銘柄を見ていくと『eMAXIS Slim』(イーマクシス・スリム)が多いが「これは三菱UFJグループが売り出した投信で、低コストブランドで断トツ人気のシリーズです」

と野原さんは絶賛する。

「未来を見据えて、人口減の『日本』よりは、世界をけん引する『米国株』、成長が期待できる『新興国』の比重を多くすると、ややリスクは取ることになりますがリターンもその分期待できるでしょう」

途中で商品を替えたり、掛金を増減することも可能。そのためには世界のニュースに興味をもっておくことも大切、と野原さん。

メリットはさまざまありそうなiDeCoだが、まずは無理のない金額で。

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