「まったく見てなかったんですね。だから(統一教会の関連施設とは)知りませんでした」
8月18日、囲み会見でそう弁明した自民党の生稲晃子参院議員(54)。
生稲議員は<演説をお聞きの人より、他にも仲間が集まっているのでお話を聞かせてもらいたいとのご依頼があり>(事務所コメント)、スタッフの判断で施設を訪問。岸田首相の指示で統一教会とのつながりを調べているときに、同施設が統一教会の関連のものだと初めて分かったと主張している。政治部記者はこう嘆息する。
「選挙戦前の1分1秒が惜しいときに、何の下調べもせず、どこの団体のものかわからない施設に行くわけがないでしょう。仮に、訪問先が暴力団の関連施設だったらどうするんですか。統一教会の施設だとわかっていたに決まっている」
もっとひどいのが、一緒に施設を訪問した萩生田議員の弁明だ。萩生田氏は統一教会との関係を認めたうえで、「昭和の時代の関連商法のことなどは承知をしておりましたが、その後悪い噂を聞くこともなかったですし、そういった報道に接する機会もなかったもんですから」(8月18日会見より)と言い放った。
「統一教会の問題がもっとも報じられたのは『昭和の時代』ではなく、平成です。近年も、判決が出るたびに霊感商法の問題はたびたび報じられてきましたし、国会の質疑でも取り上げられています。萩生田さんは新聞もとらず、国会の答弁も聞いていなかったということでしょうか」(前出・政治部記者)
いま、統一教会との関係を突っ込まれた政治家がこのような非常識な弁明で逃げることが常態化している。
「いわば『バカのふり』ですよ。
■高市早苗氏も非合理な弁明
たとえば、総務大臣政務官に抜擢された自民党の杉田水脈衆議員議員(55)。2016年に米国の教団関連施設で講演、2019年にも講師として参加した熊本県での講演会の主催者の一人が統一教会の信者だったことが指摘されている。しかし、いずれも「知らなかった」と弁明した。
「米国までいくのに、どういう団体や施設での講演であるかを調べないはずがない。熊本県の関連組織だって、すでにネット上では統一教会との関係が指摘されていました。本人も、事務所の人間も、パソコンやスマホも持ってなかったのでしょうか」(前出・政治部記者)
さらに、統一教会と関係が深い世界日報社が発行していた月刊誌「ビューポイント」で、2001年に対談を行っていたことが発覚した高市早苗経済安全保障担当大臣(61)。
《日本で一部の情報検索サービスが開始されたのは、2001年の対談の5年前ですが、事務所では未だ利用していませんでした。スマホが初めて米国で販売されたのは、対談の6年後。今ほど手軽に様々な活字媒体の背景を調べることは困難な時代でした》
そうツイッターで弁明している。週刊誌のベテラン記者はこう首をかしげる。
「もともと高市さんはキャスターとして活動していたメディアの人です。世界日報社が“統一教会関連”なのは業界の常識でしたし、調べようと思えば知り合いのメディアの人間にでも聞けばすぐにわかったこと。20年前のことなんですから、こんな変な弁明をするより、『当時は認識が甘かった』と言われた方がよっぽど腑に落ちます」
■本当に知らないなら政治家として不適当
ほかにも複数の自民党議員が非常識な弁明で追及を逃げている。だが、「究極の『バカのふり』は日本維新の会の松井一郎大阪市長かもしれない」(前出・政治部記者)という。
松井氏は、過去に統一教会の関連団体である国際勝共連合の集会に参加していたことを認めたうえで、「勝共連合という団体があったことをはじめて知った」と言い放った。
「松井さんは日本維新の会の代表でもあるわけです。国政にかかわる人間が、50年以上にわたり日本の政治に関与してきた国際勝共連合の存在を知らないはずがない。さらに、松井さんの父で、大阪府議会議員だった松井良夫さんは政界のフィクサーといわれた笹川良一さんの付き人をやっていました。国際勝共連合の初代名誉会長はその笹川さんです。知らなかったというのはあまりに無理がある」(前出・政治部記者)
統一教会についての追及をかわそうとする政治家たち。最後に、前出・衆議院議員秘書はいう。
「“ググったり”、人に聞けばすぐにわかる情報を調べる能力もない、秘書に調べさせることもできないなら、それは著しく能力が低いということですから、今すぐ国会議員や首長をお辞めになった方が日本のためです。