「十三代目市川團十郎白猿襲名興行の切符の売れ行きの悪さは梨園内でも話題になっています。先代の團十郎さんのときは即日完売だったのに……」(歌舞伎関係者)

市川海老蔵(44)が十三代目を継ぐ、日本一の大名跡・團十郎の襲名披露興行が11月7日から東京・歌舞伎座で始まる。

先代の襲名披露から37年、2カ月間の公演で、1等席2万3千円という破格の値段でも話題だ。

「通常の歌舞伎座公演の1等席は1万6千円です。通常は3部公演ですが、襲名披露興行は2部制なのでこの値段なのです。ただ、売れ行きの鈍さに10月31日の特別公演から、コロナ禍で禁止になっていた『成田屋!』といった掛け声を解禁する定員2人の『大向うエリア』を設置しました。一般の観客の掛け声は禁止ですが、劇場指定の関係者のみ掛け声を発せるとのことで、VIPを優遇する措置がとられています」(前出・歌舞伎関係者)

しかし、本誌が以前報じたように、人間国宝・尾上菊五郎(80)をはじめとした大御所が口上出演を拒否するなど、異例の状況となっている。

「歴代の團十郎の襲名披露には、重鎮が勢ぞろいするのが慣習です。

しかし、2カ月間、口上に出ることを了承した重鎮は白鸚さんだけでした。表向きの理由は皆さん高齢なため“健康上の理由”です。実際には、海老蔵の公私の言動に不満があるからなのですが……。

今、歌舞伎でいちばんチケットを売るのは片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんのいわゆる“仁左・玉”コンビ。それなのに、仁左衛門さんは11月公演のみの出演で、玉三郎さんに関しては11月は1週間しか出ません。『勧進帳』の海老蔵の相手役が松本幸四郎さんと市川猿之助さんでは通常公演と変わりないですから、切符販売も苦戦しますよ」(前出・歌舞伎関係者)

11月の昼の部、夜の部ともに10月31日の時点では購入可能な状態だ――。

「特に襲名披露観劇ツアーを組んでいる大手旅行代理店のチケットが大苦戦。まだ半分しか売れていない大手旅行代理店もあるのです。ツアーに参加するのは地方の裕福な高齢者の歌舞伎ファンが多い。

ただ、海老蔵の奔放な私生活や、先輩たちを敬う姿勢に乏しいところが長年の歌舞伎ファンの不興を買い、購入控えが起こっているようです」(別の歌舞伎関係者)

今年9月の歌舞伎座公演に出演した海老蔵だが、「声が聞こえない」と多数の観客から不満の声が上がっていた。

「舞台で共演していた大先輩の仁左衛門さんが見かねて『もっと声を出して』と諭したのですが、海老蔵さんは『これがリアルだと思うんです』と返し、最後まで声量を上げることはなかったといいます」(前出・歌舞伎関係者)

■「海老蔵さんは女子大生との話に夢中に」

海老蔵のそういうかたくなな姿勢も、伝統的な歌舞伎ファンを遠ざけてしまっているようだ。

「今回の“非常事態”に、襲名披露公演に出演する重鎮の後援会にも切符を売るよう働きかけがありました。

でも値段の高さもあって、そう簡単には伸びていません。

海老蔵さんは、性加害報道で活動自粛中の香川照之さんが12月公演に出演すれば話題になると松竹サイドに持ち掛けました。歌舞伎ファンから反発があったものの、10月31日に香川さんの出演が正式に発表されたのは、“背に腹はかえられない”ということなのでしょう。團十郎襲名披露興行に空席が目立つことになれば、梨園の恥。万が一に備えて演劇関係者への“招待券”も出回り始めたようです」(前出・歌舞伎関係者)

そのため、まず菊五郎をはじめとした重鎮たちへの懐柔策がとられたという。

「海老蔵さんも、このままではさすがにまずいと感じたようですね。

松竹を通じ、重鎮の方々に『何とぞご協力を』とお願いしたそうです。松竹側も『切符の売れ行きが芳しくなく、お力添えを……』と重鎮たちを説得したと聞いています。その結果、菊五郎さんは11月公演だけ出演を受け入れましたが、海老蔵さんと同じ舞台に立つことはせず、息子の勸玄くんとの共演となりました。

それでも12月公演の口上に出る重鎮は白鸚さん以外、まだ正式発表できない状況なのです。團十郎襲名以上に大切な歌舞伎公演は本来ないはずなのに、それを袖にする重鎮が存在していることを海老蔵さんは深刻にとらえるべきです」(前出・歌舞伎関係者)

また、今回の團十郎襲名披露には多額の費用がかかる。

「先代の襲名披露は3カ月間で計30億円かかったといわれており、今回も10億~20億円と予測されます。

海老蔵さん自身も、その一部を負担せざるをえない。そこで、襲名興行のチケット売りやご祝儀集めのため、今夏から“営業”も始めていたようです」

と語るのは、ある実業家だ。

「私が所属している若手の起業家による経営者クラブがあるのですが、8月に海老蔵さんが正会員になったんです。8月末に東京・銀座にある女子大生サロンで行われた会合にも、海老蔵さんは来ていました。人脈を広げようと考えたのでしょう。

ところが、若手経営者の交流会なのに、積極的に名刺交換をするわけでもなく、サロンの様子を見に来たというか、女子大生との話に夢中になっていて、はたから見ると遊びに来ているような感じにしか思えませんでした」

そのサロンは会員制で、民放の人気女子アナが大学時代にアルバイトしていたことでも話題になったという。

「その後、海老蔵さんは会合には姿を見せていないと聞いています。経営者クラブの会員にならないと女子大生サロンには入れませんから、海老蔵さんはサロン利用目的で会員になった可能性もあります。これから有力な後援者になる可能性のある方を、ここで接待する心づもりなのかもしれません」

海老蔵の“奔走”により、梨園最高峰の襲名披露興行は「満員御礼」となるのか――。