「顔が老けて見える原因は、骨の衰えです」

そう話すのは、Dr.孝志郎のクリニック院長で、著書に『1日5秒骨トレーニング!』(ビジネス社)を持つ総合内科専門医、藤澤孝志郎先生だ。

「高齢になると体が小さくなるのは、骨が縮むからです。

というと『まだまだ先の話』に聞こえますが、骨の縮小率がもっとも高いのは下あごの骨。口のまわりのしわやほうれい線、たるみは、下あごの骨が縮むために起こるのです」(藤澤先生・以下同)

骨が縮むと顔の土台は小さくなるが、皮膚の大きさは変わらない。だから皮膚が余ってたるみ、もっと進行するとしわになる。中高年に多い目の落ちくぼみも、骨の縮小が原因だという。

とはいえ女性は閉経後、骨密度が低下する人がほとんどだ。骨が原因なら、顔の老け見えはあきらめるしかないのだろうか。

「骨は再生しないと思っている方もいるようですが、実は、何歳からでも再生できます。更年期を過ぎていても、たとえ骨粗しょう症を発症していても、骨トレを続けていれば骨は鍛えられます」

藤澤先生いわく、骨は刺激を感じると、電気を発生する。その電気が骨の新陳代謝を促し、骨を強くするのだそう。

骨の強化には、相当大きな刺激が必要そうだが……。

「意外かもしれませんが、骨を鍛えるのは筋肉より簡単です。大きな力はいらないし、短時間でOK。

骨トレは筋トレよりも楽ですよ」

■骨トレは簡単で楽々! しんどいことは続かない

先生推奨の骨トレは次のとおり。たとえば「ウミガメ式腕立てもどき」は両手を床に押し込むだけ。腕立て伏せのように体を浮かせなくてもいいので、筋力がない女性でも簡単そうだ。

【骨トレ1】セルフ力比べ

両手を胸の前で組み合わせ、両側から5秒間ぐっと押し合う。腕を水平にするのがポイント。

【骨トレ2】リラックスかかと落とし

椅子に座り、あればひじ掛けに手を置き体を支える。足は肩幅くらいに広げ、つま先は地面につけたまま、かかとを上げる。その状態からゆっくりとかかとをおろすのを5回繰り返す。1日2回でOK。

【骨トレ3】ウミガメ式腕立てもどき

ウミガメのスタイルで、体の両脇に手を置き、床(布団の上でもOK)に向かって10秒押し込む。腕立て伏せのように体を浮かせる必要はない。

3つの骨トレは、それぞれバラバラのタイミングでも、3つ連続して行ってもよい。

「『リラックスかかと落とし』は椅子に座ったときや食事の後、通勤電車などでもできますし、『ウミガメ式腕立てもどき』は布団の上でやるのがおすすめです」

ただし、鍛える意識を忘れずに。なんとなく行うのではなく、「鍛えるぞ~」と思いながら行うと、力の入り方が平均化して得られる効果も安定するというのだ。

骨トレは全部やっても約1分。タイムパフォーマンスにも優れ、筋肉痛になることもない。

「しんどいこと、つらいことは続かないでしょう。気楽に毎日継続することが大切です」

楽すぎる骨トレだが、3~6カ月続けると体が変わるという。

「一見ソフトですが、骨への刺激が大きい動きばかりです」

コロナ禍は4年目に入り、マスクをはずす日も近いかもしれない。マスクなしになるとほうれい線を隠せないのはつらい。

「いまから骨トレに励めば間に合います。その時が来たら、たるみやほうれい線のない若々しい顔で、マスクをはずしましょう」

ほかに、気を付けることは?

「食事でビタミンKを取ってください」

骨の強化といえば、よくビタミンDの摂取をすすめられるが。

「ビタミンDはカルシウムの吸収力を上げることに有効です。ただ、ひどい場合は死に至る『高カルシウム血症』を引き起こす危険性があり、注意が必要です。

いっぽう、ビタミンKは骨芽細胞そのものを活性化する効果があります。そのうえ、たくさん取っても問題なく、安全です。ビタミンKが豊富なブロッコリーや納豆をどんどん食べてください」

ビタミンKはほかにも、ほうれん草や小松菜、ヒジキなどに多く含まれる。また、少量の油とともに摂取すると、ビタミンKの吸収率が上がるというから、ほうれん草や小松菜の炒めものなども◎。毎日の食事に加えよう。

何歳になっても女性は、きれいで若々しくいたいもの。そのために、ダイエットに励む人も多い。

「太っているかどうかは、若さに関係ないと思います。やせてシワシワな人より、ぽっちゃりさんでも肌にハリがあるほうが若く見えるでしょう。若さは骨年齢が握っています。アンチエイジングは、骨トレから始めるのが近道です」

すき間時間にコツコツ骨トレ美容で、老け見え顔にさようなら! 若々しい顔で春を迎えよう。

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