住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、衝撃を受けた映画の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょう――。

「ジブリ作品は昔から大好きで、何度もテレビで見ていました。とくに初めて映画館で見た『もののけ姫』(’97年)は衝撃的。これをきっかけに映画館に行くようになり、エンタメの世界への興味をさらに強くしたんです」

こう語るのは、タレントの安めぐみさん(41)。芸能界へのあこがれは、幼いころから抱いていたという。

「すごくテレビっ子で、歌番組が始まると、内気な性格にもかかわらずコタツの上にのって、踊ったり歌ったりしていました。“いつかはテレビに出てみたいな”と、ずっと思っていました」

歌番組、ドラマ、お笑い番組、なんでも好きだった。

「小学生のころ、クラスでは光GENJISMAPが人気で女子の話題になっていましたが、私の興味は男性アイドルよりもお笑い番組。志村けんさんの『だいじょうぶだぁ』(’87~’93年・フジテレビ系)や『風雲!たけし城』(’86~’89年・TBS系)は欠かさず見ていたし、『とんねるずのみなさんのおかげです。』(’88~’97年・フジテレビ系)の、人気アイドルが全身タイツ姿で登場する“モジモジくん”のコーナーも大好き。『浅草橋ヤング洋品店』(’92~’96年・テレビ東京系)で、周富徳さんたち料理人が繰り広げる中華料理対決にもすごく興味がありました」

最初に親に買ってもらったCDは、今はなき細長いパッケージが特徴のシングルCDだった。

「『ADブギ』(’91年・TBS系)の主題歌だった楠瀬誠志郎さんの『ほっとけないよ』(’91年)か、観月ありささんのデビュー曲『伝説の少女』(’91年)のどちらかだと思います。そのまま保存するのか、折り曲げて保存するのかで迷っていました(笑)。

観月さんのことを知ったのもテレビの歌番組。とにかく脚が長くて、顔もすごく小さい。“なんてキレイな人なんだ”と、雑誌のグラビアページを切り抜いたりしていました。ずいぶん後になって、観月さんとお仕事をご一緒したり、お食事をする機会があって、奇妙な感覚に。昔からのファンですと伝えると、『アリガトウ!』ってサバサバした感じで返してくれるのも、観月さんらしいです」

当時、ティラミスに続いて人気となったナタデココの存在も、テレビで知った。

「CMの“ナタデ・コ~コ”というフレーズは、今でも耳に残っています。わが家の冷蔵庫にはナタデココが常備されていたほど、あの硬さと軟らかさの中間にあるような絶妙な食感のとりこに。最近、タピオカ屋さんに行ったのですが、長時間並んだのに、あまりの懐かしさから、タピオカではなくてナタデココをトッピングしてしまいました」

■自然の雄大さへの畏れを感じた「もののけ姫」

小・中学生時代は、友達同士で映画館に行くことができず、映画はテレビで見るものだった。

「最初に見たジブリ作品は『天空の城ラピュタ』(’86年)。子どもにもわかりやすい冒険活劇。主人公のシータとパズーが、トーストの上にのせた目玉焼きをシュルッと食べるシーンがあるのですが、それがなんともおいしそうで。母にねだって同じものを作ってもらいました。

ジブリ作品は、料理の描き方がすごく上手で、見ているとおなかがすいてくるほど」

それからは、テレビで放映されるジブリ作品を見逃さなかった。

「『となりのトトロ』(’88年)は、ネコバスなどのファンタジーなところも魅力ですが、サツキとメイの姉妹愛がジーンときます。『魔女の宅急便』(’89年)の、キキとトンボが二人乗りした自転車が、倒れるようにコーナーを回ったりして疾走するシーンは、本当に風が吹いてくるような迫力」

ジブリ作品特有の臨場感を味わうため、初めて映画館に足を運んだのは、高校1年生のときに公開された『もののけ姫』だった。

「電車に乗って立川(東京都)の映画館に行ったと思います。高校生にとって、友達と一緒に映画館に行くなんてかなりのイベント。すごくワクワクしていたことを覚えています」

期待どおりの映像と、壮大なスケールで描かれる物語の世界に入り込んでしまった。

「人間と自然や動物との関わり方がテーマになっている作品。動物がしゃべるシーンも多くありましたが、なかでも人間に恨みを持つモロの君役の美輪明宏さんの声には、凄みと迫力がありました。それに、タタリ神に呪いをかけられたアシタカのあざが大きくなって、ウネウネと蛇のように体に巻きつくシーンがあったり……。人間の力では到底太刀打ちできない自然の雄大さに、畏れのようなものを感じました」

映画を見終わった後は、当時、はやっていたプリクラを友達と撮って、2時間ばかりカラオケボックスで歌って帰った。

「それからは映画を見に行く機会が増え、アニメ映画だけでなく『タイタニック』(’97年)のような洋画も映画館で見るように。小さいときからテレビっ子で芸能界に興味を持っていた私は、映画を通じてさらにエンタメの世界に引きつけられ、エキストラ事務所に登録してみようと思ったんです」

芸能活動はドラマの通行人役から始まり、事務所のすすめでグラビアにも挑戦した。

「初めて“安めぐみ”としてテレビに出たのは、東北のローカル番組のアシスタント。その番組でMCを務めていたのが、今の夫(東貴博さん)なんですよ」

その10年後に別番組で再会して交際に発展し、’11年に結婚。

「今は小学校2年生の娘と、ジブリ映画を見ています。でも、内容的に難しい『もののけ姫』を見るのは、もうちょっとお姉さんになってからになるんでしょうね」

【PROFILE】

安めぐみ

’81年、東京都生まれ。’99年に「第10回YJ全国女子高生制服コレクション」で準グランプリを受賞後、タレント・ナレーターなど幅広く活躍。’11年、タレントの東貴博と結婚、’15年に長女を出産。現在『土曜はナニする!?』(フジテレビ系)に準レギュラーとして出演中

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