11月14日に逝去した俳優・火野正平さん(享年75)。年明けには四十九日を迎える。
生前は“元祖プレーボーイ”と呼ばれた火野さんは、家族に見守られながら静かな最期を迎えたという。火野さんの逝去直後、長女(42)は本誌の取材に対してこう語っていた。
「父とは、42年間もこの家で一緒に過ごしてきました。父と母とはいまでいう事実婚でしたが、私たちの関係は普通の家族と何も変わりはありません。思い出をかみしめながら、父を送り出すことができました」
今年の4月に持病の腰痛が悪化した火野さんだったが、夏には家族旅行もしていたという。
「7月に家族みんなで(静岡県の)伊豆下田に旅行に行ったんです。実はその旅行に行ったときも、お風呂は家族みんなで混浴だったんです(笑)。パパは最後まで家族からもモテモテでした」
海が好きだった火野さん。妻や2人の娘たちと、毎年ハワイのカウアイ島に行くのも楽しみにしていた。旅行は籍を入れていない妻への“指輪がわり”の意味もあったという。自著『若くなるには、時間がかかる』(講談社)には、こうつづられている。
《母ちゃんには、結婚記念日なんてないよ……だって、結婚してないんだもん。
家族での思い出がつまったカウアイ島は、火野さんにとって思い出の地であり、その地での散骨も望んでいたようだ。
《俺は墓なんていらないから、カウアイ島の一番好きだった沖に骨を撒いてくれっていうのは、今の母ちゃんに言ってある》
いわば遺言だったが、豪快な火野さんらしく、生前にその段取りは決めていなかったようだ。逝去から1カ月後の12月中旬、長女に再び話を聞いたが、散骨についてはしきりに困惑していた。
「散骨ですか? それは父の遺志ですから、そういうことになると思います。ただ……、亡くなったのも急なことでしたし、(散骨の)計画については何も準備ができていないんです。いろいろ(遺品などの)整理も進まなくて、なかなか落ち着きません。ひと段落するのは、一周忌ごろになるかもしれません」
生前と同じように、亡くなってからも、火野さんに家族は振り回されているようだった。

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