交通機関の利用にSuicaなど交通系ICカードではなく、クレジットカード(以下、クレカ)のタッチ決済が増えています。自動改札機も、交通系ICの読み取り部とは別に、クレカ決済専用のタッチ画面が設置されたものをよく見かけるようになりました。

VISA限定のデータですが、タッチ決済で利用できる交通機関は181社、41都道府県に広がっています (2025年6月末、三井住友カード)。東京メトロが2026年春から全線でタッチ決済を導入するなど今後ますます増えるでしょう。

そこでタッチ決済乗車のメリット、デメリットと共に、今後の展望などを見ていきましょう。

タッチ決済の最大のメリットは、交通系ICカードがいらないことです。一時期、新規発行を停止するほどICチップが不足しました。特に短期間しか利用しない海外からの旅行者などには、ICチップを使わない方法があるといいでしょう。事前の発行手続きや保証料を払って交通系ICを発行する手間もなく、利用者も便利でしょう。

また、国内でも交通機関の利用が少ない方はクレカで乗車できれば持ち物が減ります。利用料金などの管理もクレカに集約されるので簡単になるでしょう。

次のメリットは、チャージの必要がない点です。チャージ切れで自動改札が通れないなどということが、クレカならありません。

さらに、クレカ決済ならポイントがまるのもお得ですね。

■複数の鉄道会社をまたいでの利用はできない

いっぽう、デメリットはまだまだ大きいです。タッチ決済乗車では今のところ、複数の鉄道会社をまたいでの利用はできませんし、定期券の販売もありません。導入済みの駅でもすべての改札機にタッチ端末があるわけではないので、改札機を選ぶ必要もあります。

今後改善が進むと思いますが、交通系ICのほうが便利だという方が多いかもしれません。今後も交通系ICに取って代わるのではなく、選択肢の一つだと思います。

とはいえ、今はタッチ決済乗車を浸透させたい事業者が、お得なキャンペーンを行っています。

たとえば、ダイナースクラブカードは8月末までタッチ決済乗車の料金を30%キャッシュバックします。キャッシュバックの上限は500円とお出かけ1回分程度ですが、じょうずに利用したいものです。

また、1日乗り放題の料金を設定する交通機関が多いです。横浜市営地下鉄は1日何回乗り降りしても最大740円。東京の新交通システム「ゆりかもめ」は1日最大820円、大阪モノレールは10月13日までの土・日曜・祝日なら1日最大700円です。乗り放題券を買うなど事前の手続きが不要な点も◎でしょう。

さらに、鹿児島市交通局では市電と市バスの1カ月の上限料金を通勤定期と同じ9千660円に設定。定期券と同じお得感を、定期券を買う手間なしで提供しています。

タッチ決済乗車がお近くでも導入されていないか、駅のポスターなどで確認してはいかがでしょう。

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