「じつは『ショムニ』は急きょ決まった企画のようで、オファーがあったときは『主要メンバーしか決まっていなくて、今、人を集めている状況』と伺いました。スタジオの会議室で初顔合わせしたとき『数日前に声がかかったばかり』という声も聞こえるほど」

こう振り返るのは、櫻井淳子さん。

突然のオファーなうえ、“魔性の女”という初めて挑戦する役だった。

「原作マンガでは、『ウフフ』とかばかりで、あまりしゃべらないキャラなんです。しぐさやほほ笑みで妖艶さを出すために、川島なお美さんをイメージして、一人、鏡の前で練習をしていました」

急ごしらえの現場だったが、団結力があったという。

「江角(マキコ)さんがおそろいのジャージを作ってくれたので、みんな、本番前は制服姿のまま、下だけジャージをはいていました」

というのも、江角をはじめ、メンバー全員のスカートが短かったからかもしれない。

「江角さんはとにかく脚がスラリと長くてかっこよくて。座ったときは、私の席からは短くて見えちゃうほどでした(笑)」

出演者同士仲がよく、遊びに行くこともあった。

「八景島に行ってフリーフォールのアトラクションを体験したときは、高橋克実さんの髪の毛が大変なことに(笑)。私がスタジオから10分くらいの場所に住んでいたから、うちで飲み会をすることもありました。遊ぶメンバーは大体一緒で、いつも参加していたのが伊藤俊人さん。素敵なお兄さんで、なんでも話せる人。いつもふざけて、周りを盛り上げてくださいました」

名バイプレーヤーとして活躍した伊藤さんは、『ショムニFINAL』撮影開始直前の2002年、40歳の若さで急逝した。

「伊藤さんを偲ぶために、命日に関係者が集まるようになったんです。

伊藤さんの奥さまもいらっしゃる会で、戸田(恵子)さんが必ず花を買ってきて、伊藤さんの写真の前に献花するんです」

コロナ禍の数年は中止となったが、現在は復活して、今年も行われたという。

「夜の7時くらいから始まって、ポツリポツリと人が増えたり、減ったり。お互いの子供も連れてきたりして、当時のくだらない思い出話をしながら、のんびりと過ごす集まりです。ドラマが終了して20年以上もたちますが、伊藤さんがみんなを引き合わせてくれているのだと思います」

『ショムニ』(フジテレビ系、1998~2013年)

都内の中堅商社を舞台に、坪井千夏(江角マキコ)をはじめとした「女子社員の墓場」と呼ばれる総務部庶務二課のOL6人の活躍を描く。「女の価値は男の数で決まる」などの千夏語録が話題となり、人気が急上昇した。

【PROFILE】

さくらい・あつこ

1973年生まれ、埼玉県出身。高校2年のとき、スカウトされて芸能界入り。1991年にドラマデビュー後、数多くの映画、ドラマで活躍する。『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)に出演中

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