9月22日に告示を控える自民党総裁選(以下、総裁選)。先陣を切って立候補を表明した茂木敏充前幹事長(69)を皮切りに、ここ1週間は“出馬ラッシュ”が続いた。
今夏の参院選で過半数割れを喫し、少数与党に転じた自民・公明両党。昨年の衆院選に続く敗北への責任追及の矛先は、石破茂首相(68)に向けられた。自民党内では“石破おろし”の動きが強まり、石破氏が退陣を表明したのは9月7日のことだった。
「首相は退陣を表明するまでの間、米国との関税交渉や物価高政策などを理由に続投の意向を示し、“国政に停滞を招かない”と粘り続けました。いっぽう自民党内で“石破おろし”を先導していたのは、裏金問題を引き起こした旧安部派や旧茂木派、麻生派などの議員です。そのため世間では首相を支持する世論が高まる現象も見られ、7月下旬からは首相の続投を求める“石破辞めるなデモ”も行われました」(全国紙記者)
昨年9月の総裁選を制し、石破氏が悲願だったトップの座に就いたのはわずか1年前。結果的に短命政権となってしまったが、退陣を表明した日に“労いの言葉”を寄せていた人物もいた。それは、『報道ステーション』(テレビ朝日系)の“顔”である大越健介キャスター(64)だ。
同番組の公式HPには「大越健介の報ステ後記」と題するブログが公開されており、大越キャスターは石破氏の退陣について約2500文字ものボリュームで私見を綴っていたのだ。
昨年9月の総裁選投開票日の夜に、当選したばかりの石破氏が「報ステ」に出演した思い出を導入文に取り上げた大越キャスター。当時の石破氏とのやりとりについて、《石破さん自身、疲れがたまっていたと思う。
続く文章では石破氏が退陣を表明するまでの波乱に満ちた出来事を振り返り、その上で大越キャスターは石破氏をこう評価したのだった。
《僕は特定の政党や政治家を持ち上げたり、こき下ろしたりする任にはない。だが、石破さんのこの1点については支持する。彼は可能な限り、国民への対話と説明に努めた人だった。1年前の総裁就任のときがまさにそうだったし、それ以前もそうだった。それはメディアに携わるかなりの人が認めるところだと思う》
約50分に及んだ石破氏の退陣会見では、各種世論調査で内閣支持率が上昇したことへの見解を記者から問われる場面があった。その際、石破氏は「党内でいろいろな争いをするよりも、きちんと仕事をしてくれと、国家、国民に対して仕事をしてくれというような強い意思の表れではなかったかと思います」などと、率直な考えを語っていた。
大越キャスターはこの石破氏の答弁をブログで引用し、《志半ばで政権を手放す口惜しさとともに、国民の納得を得る努力を続けてきたという自負がうかがえる会見だった》と評した。
しかし石破氏の政治姿勢に批判が上がり、退陣を求める動きが加速したことについては《石破さんの不徳の致すところだろう》とキッパリ。その上で《それでも僕は石破総裁を選んだ時点で、もう自民党は変わる道を選んだのだと信じたい》と前置きし、こう希望を綴っていた。
《自民党は長らく政権与党の座にあった経験から、おそらく政治のプロになり過ぎた。
首相としての石破氏を感慨深げに“総括”した大越キャスター。いつの日か、両者の対談が実現する日がやってくるかもしれない。