「自由民主党の国会議員と都道府県支部連合会の代表だけで総裁を決めるという話も出ましたが、今回は約100万人の党員も参加する“フルスペック”の総裁選にすることを選びました。フルスペックとなれば全国で遊説し、各メディアにも取り上げられることになります。

参院選で大敗した党の支持回復、候補者の顔を売るチャンスになるからです」

こう分析するのは、政治評論家の有馬晴海さんだ。立候補者は前回の9人から半減し、小泉進次郎氏(44)、高市早苗氏(64)、林芳正氏(64)、小林鷹之氏(50)、茂木敏充氏(69)の5人。

10月4日の投開票までに論戦が繰り広げられるが、いったい誰が自民党の顔となるのだろうか。

まずは、最初に立候補を表明した茂木氏。

「茂木さんは優秀だけど、人を見下すタイプ。議員からの人気もないので、議員票は厳しい。本人も当選するとは思っておらず、決選投票で勝ち馬に乗って、幹事長や財務大臣を狙っているのではと見られています」(自民党関係者)

通称“コバホーク”こと小林氏は、開成高校、東京大学、財務省とエリートコースを歩んできた。

「政策能力にも定評がありますが、知名度が……。次か、その次を狙うため、顔を売っておきたいところでしょう」(自民党関係者)

官房長官として石破政権を支えてきた林氏だが、政界ではその手腕を評価する声が多い。

「政策通で、人当たりもよく敵がいない。野党とも連携できますが、やはり選挙の顔としては弱い」(自民党関係者)

総裁選は小泉氏と高市氏の決選投票になる見込みが濃厚だという。

■小泉氏が有利も失言で形勢逆転も

自民党関係者や政界記者は、現在のところ小泉氏が優勢と見ている。

「高市氏の靖国参拝は、中国と良好な関係の公明党が難色を示すことが考えられます」(政治記者)

一方の小泉氏もこんな落とし穴が。

「的外れな発言や失言で情勢は変わります。選対本部長となった加藤氏からも『極端なことを言うと、負けることになるから注意するように』とアドバイスがあったと聞きます」(有馬さん)

9月24日、日本記者クラブが主催する公開討論会に候補者5人が臨んだが、抽象的な話が多く、数値を伴った具体的な経済政策を語る様子はほとんど見られなかった。

誰が総裁になっても、自民党が国民目線の政治ができなければ、“解党的出直し”が“解党して出直し”することになるだろう。

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