9月23日ごろからXを中心に、スペインから来日したという外国人配信者の迷惑行為が物議を醸している。

「この配信者は、人気アニメ『ワンピース』の主人公・ルフィを真似たファッションで世界中を旅しているようです。

しかし、YouTubeチャンネルの登録者数は2050人、TikTokのフォロワーは5600人あまりと知名度は高くありません。迷惑行為を配信することによって、人々の関心を集めようとしているものと見られます。日本では夏ごろに、青森県と思しき場所の神社に入って敷地内の建物に無断侵入する動画や、カラオケ店に向けて花火を打って騒ぐ動画などをアップしていました」(WEBメディア記者)

そんななか問題視されているのは、この配信者が電車内でライブ配信をしていた際に、注意をしてきた他の乗客とトラブルになった動画だ。23日ごろにXで一部を切り取った動画がアップされると、瞬く間に拡散し炎上している。

配信者のTikTokにアップされている動画では、麦わら帽子を被った配信者が電車の優先座席に座り、身振り手振りを交えてライブ配信をしていた。そこへ高齢男性の乗客が近づき、配信者の胸元を2度叩いて「うるさいな」と注意。

配信者は状況を把握できていないようで、立ち去る男性に「何が起きたの?」などと返していた。すると男性は配信者のもとに戻り、配信者の顔周辺を小突きながら「うるさいって言ってんだよ」と語気を強めて注意。それでも配信者がライブ配信を止めることはなかった。

その後、トラブルはさらにエスカレートすることに。再び男性が配信者に注意をしたところ、配信者は「It’s OK」と言いながら男性の腹を両手で突き飛ばしたのだ。

男性は隣の座席に倒れ込み、起き上がって自分の座席に戻ろうとする。

すると配信者は間髪を入れずに、片手で男性の背中を押す。男性はよろめきながら座席につかまり、配信者の方をじっと睨んでいた。

「Xで拡散しているのは、配信者が男性を突き飛ばすところから切り抜かれた30秒ほどの映像。JR九州の車内で発生したトラブルだそうで、配信者によるライブ配信では突き飛ばされた男性が乗務員を呼ぶ様子も収められていたそうです。実際には注意をした男性から先に手を出したわけですが、配信者が走行中の車内でライブ配信をしていたこと、男性に対して過剰にやり返したこともあり、配信者を咎める声が相次いだのです」(前出・WEBメディア記者)

この配信者は25日にYouTubeチャンネルで謝罪動画をアップしていたが、日本だけでなく海外からも厳しいコメントが続々。またXでは、《警察が動かないとダメだろ》《見つけ出して強制送還しろ》《逮捕案件では?》などと厳しい対応を求める声も上がっている。

トラブル発生当時、鉄道会社側はこの配信者に対してどのような対応をとったのだろうか? そこで本誌が25日にJR九州の広報を取材すると、29日に担当者から折り返しの電話があり、対応の詳細を語ってくれた。

担当者によれば、9月22日の午後11時半ごろに、佐賀県鳥栖市にある鹿児島本線の鳥栖駅でトラブルが発生したとのこと。はじめに駅員が男性から「暴力を受けた」との申告を受け、駅員と乗務員が現場に行き、男性から事情を聞いたという。しかし鉄道警察隊には通報しておらず、その理由についてこう明かしていた。

「通常なら鉄道警察隊に連絡して、お客様から事情を聞くのですが、男性の方から『電車を遅らせたくない』『警察を呼ばなくていい』との申し出がありました。ですので、ライブ配信をしていた外国人の方を男性から離し、違うお客様とまたトラブルにならないように、外国人の方を車掌の目の届く座席まで移動させる対処をいたしました。

その一連のやりとりがネット上にアップされたということです」

なお、男性が暴力を振るわれる現場を駅員や乗務員は目撃していなかったため、配信者に対する厳重注意など踏み込んだ対応はできなかったとのこと。また、男性がトラブルを大ごとにしたくなさそうな様子だったことも考慮したという。

男性には目立ったケガなどはなかったというが、車内での写真撮影や動画配信は他の乗客とのトラブルにもなりかねない。その点の見解を尋ねると、担当者はこう呼びかけていた。

「車内において他のお客さまの迷惑となるような行為、安全を損なう行為については禁止しております。トラブルなどを発見した場合は、乗務員の方にお知らせください。乗務員からもお声かけや注意をさせていただきます。また、車内にはSOSボタンもありますので、そちらで乗務員を呼んでいただければ対処いたします」

万が一、公共交通機関で迷惑行為を目撃したとしても、まずは駅員や乗務員に相談したほうが安全だろう。

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