「打たれても仕方がないかなというか、割り切って、自分から自滅せずにゾーンで行って。それだけかなと思います」
10月7日(日本時間)、ペンシルベニア州フィラデルフィアでナ・リーグ地区シリーズ(5回戦制)第2戦が行われ、ドジャースがフィリーズに連勝。
「敵地での試合でしたので、ドジャースの選手たちへヤジが飛び交ったのですが、佐々木投手は『英語がわからないから何言っているかわからない。そこらへんは気にせず投げられました』とも話していました。抑えにふさわしい“強心臓”ぶりでしたね」(スポーツ紙記者)
今季、肝いりでドジャース入りした佐々木だったが、故障者リストに入るなど、ポストシーズン前までの成績は10登板で1勝1敗、防御率4.46と決して芳しくなかった。『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2025』著者でスポーツライターの友成那智さんは言う。
「佐々木選手はロッテ在籍時代から、選手会に入らなかったり、ちょっと特殊なところがあり、言い訳ばかり言っているように映ることもありました。ドジャースに入った当初も浮いた感じがありましたね。神経質なところがあり、少々悪い投球すると涙してしまうというか、顔がこわばってしまって、感情を抑えられないところがあったんです。
また、メジャーリーグでは投手交代のときに監督にボールを手渡すのが流儀で、それをしないとペナルティーが課せられます。佐々木選手は1度、交代を告げに来たロバーツ監督にボールを渡さないで勝手にマウンドを降りて、ボールをベンチの方に投げたことがありました」
ところが、ポストシーズンでは守護神として大活躍を見せている。その背景には、先輩である大谷翔平選手(31)の奔走があったと友成さんは言う。
「ワイルドカードシリーズでは、大谷選手、山本由伸選手、佐々木選手はモノトーンの私服でスタジアムに来ていました。
地区優勝を決めた時、大谷選手は山本選手と佐々木選手と今季入団したキム・ヘソン選手の4ショットをインスタに上げていました。また、シャンパンファイトで大谷選手は山本選手と掛け合ったあとに佐々木選手の首をつかまえて、背中にシャンパンを流し込んでいましたね。微笑ましい光景でした。大谷選手が佐々木選手のことをずっと気にかけていることがよくわかります」
■ロバーツ監督が明かす「日本人選手3人のなかで、話しかけやすい順番」
今季、大谷が佐々木に大きな期待を寄せていることがわかる場面があったという。
「5月のダイヤモンドバックス戦で先発した佐々木選手が5回途中5失点で三振を一つも取れずにKOされて降板したとき、佐々木選手は大谷選手に叱られたことを明かしています。大谷選手は滅多に怒るタイプではないですが、佐々木選手は試合後の会見で『大谷さんに本気で注意された。もっと責任を持って投げろ』と言われたそうです。
なにかと誤解されがちな佐々木選手への風当たりがそれ以上強くならないようにという、大谷選手の叱咤激励、厳しくも愛情のある指摘だったと思います。佐々木選手も『責任は感じています』と自分の不甲斐なさを素直に認めていました。
その一方で、佐々木選手が負傷者リスト入りして、落ち込んでいるところを大谷選手が気遣うシーンが何度か見られました。
ロバーツ監督も佐々木選手の扱いにはかなり慎重だという。
「ロバーツ監督によれば、日本人選手のなかで一番話しかけやすいのは山本選手で、次が大谷選手。その次が佐々木選手だと。佐々木選手の扱いは監督でも難しいようです。その関係性を上手く緩和しているのが大谷選手なんですよね。佐々木選手は『大谷選手のリーダーシップは素晴らしい』と言っていたと思います」(前出・友成さん)
このまま地区シリーズを勝ち抜き、新守護神誕生となれば、佐々木は尊敬する大谷の生き方をお手本とすることになりそうだ。前出の友成さんは言う。
「やはり佐々木選手は大谷選手に見守られてここまで来たという感じがします。佐々木選手の新妻は今回、試合観戦に訪れていないようですが、真美子さんのように今後は参加するかもしれません。ドジャースの場合は夫人会の存在が大きいので、いろいろ真美子さんに教えてもらって、球団行事やボランティア活動に少しずつ参加するようになるのではないでしょうか」
このポストシーズンで、佐々木の人生そのものも大きく変わるかもしれない。