26年にわたる連立政権から公明党が離脱を表明し、高市早苗新総裁(64)率いる自民党が、日本維新の会に急接近している。

16日、維新の藤田文武共同代表(44)は自民との政策協議後の会見で、「(自民との)信頼関係が一つ一段上に進んだ」とコメント。

維新側には「副首都構想」「社会保障改革」「企業・団体献金の廃止」をはじめとする交渉カードがあり、これらの条件が折り合えば、両党による新たな政権枠組みが視野に入る。

いっぽう、藤田氏は15日に立憲民主党・野田佳彦代表(68)、国民民主党・玉木雄一郎代表(56)と、首班指名選挙に向けた野党候補者一本化を念頭に、党首会談に臨んでいた。そして、この野党会談の直後、維新の吉村洋文代表(50)と高市氏が行った会談で、16日から自民、維新が政策協議を開始することが決定。

玉木氏は15日夜10時に行ったライブ配信で、自民と維新の接近に驚きつつ、こう語った。

「つい数時間前まで藤田共同代表と野党の統一候補を目指して、けっこう藤田さんも真剣に議論していただいてたなぁと思ってたんですけど。“なんだそれは自民党と連立で握ることが決まってたのか”みたいな感じで、ちょっと二枚舌みたいな感じで扱われて」

「この3者協議はなんだったんだと、いうことでね。自民党とやるんだったら最初から言ってよって感じですよね」

国民民主といえば、高市氏が就任当初から新たな連立枠組みに向けて本命視する存在だったが、玉木氏は15日に高市氏との会談を終えた後も、連立入りには慎重姿勢だった。そのため、先のような“恨み節”を漏らした玉木氏に対して、Xでは同情よりもむしろ、維新に“出し抜かれた”として、失望するような声が上がっている。

《玉木さん総理大臣になる覚悟はありますとか言ってるからだよ、、》
《玉木さん、フラフラしてるから先超されたよ。維新がやるならうちはいらないよねって言い方も子供っぽくて。総理大臣になる覚悟はありますとかそんなこと言ってる暇あったらさっさと高市さんに貸しを作れば良かったのに》
《「総理になる覚悟はある」リツミンの方をチラっと見る。その間に維新が自民と握手。

駄目だ、玉木じゃ。榛葉さんと交代しろ!》

10日、玉木氏は自公連立解消を受けた会見で、「内閣総理大臣を務める覚悟はある」と繰り返し述べ、同日に更新したXでも《私には内閣総理大臣を務める覚悟があります》と明言。同時に、首班指名選挙で玉木氏を担ぐ可能性も排除しないというスタンスの立憲に対して、《だからこそ、政権を共にする政党には、安全保障を軸とした基本政策の一致を求めています》《首班指名の対象として私の名前を出していただき、身が引き締まる思いです》というメッセージを記していた。

しかし、一転して、首相争いから蚊帳の外に置かれてしまった玉木氏。先述の批判が寄せられた背景には、玉木氏が総理大臣の座をうかがう間に、政策面で折り合いがつく部分が多い自民党との協力の機会を逃してしまったという見方があるようだ。

「玉木氏はいち国政政党の党首ですから“覚悟がある”というのは本音でしょう。ただ、少なくとも支持者にとっては、玉木氏が総理の座に“固執している”という見方は納得できないところがあるでしょう。玉木氏は与党としての連立入りと同時に、立憲とも安全保障などの政策面で隔たりがあるため、野党との連立形成にも慎重でした。

とはいえ、維新を“二枚舌”と揶揄するのも適切とは言えないのではないでしょうか。政策実現に向けてあらゆる可能性を模索するのが政党の役割で、その点、維新は好機と捉えて自民との交渉のテーブルに就いたわけです」(政治部記者)

そんななか、玉木氏の“覚悟”にある変化が。Xでは任意の投稿をタイムラインの一番上に固定できる仕組みがあり、玉木氏は先述の《私には内閣総理大臣を務める覚悟があります》と表明した投稿を固定していた。しかし、この投稿が16日までに固定から外されていたのだ。

この取り下げが一部で注目を集め、以下のような声が上がった。

《所詮は、風見鶏》
《本当にわかりやすい人間だ》
《引っ込めるのが早い覚悟》
《覚悟なかったんや…》

「少なくとも15日の夜の時点では“首相になる覚悟”投稿が固定されていたようですが、玉木氏は頻繁に固定の投稿を入れ替えるので、今回の取り下げに他意があるのかどうか、そこはわかりません。ただ、維新が自民と政策協議を開始することを決定した日ということもあり、トーンダウンしたと見られてしまいかねないタイミングでした」(前出・政治部記者)

なお、玉木氏は16日に応じた産経新聞のインタビューで、首相指名選挙に向けた立憲、維新との協議は《一応、継続協議になっている》と説明している。一世一代の“首相になるチャンス”に玉木氏はどう動くのか――。

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