12月15日の参院予算委員会で、れいわ新選組・山本太郎代表(51)が、高市早苗首相(64)の経済政策を厳しく追及する場面があった。

山本氏は、11日に衆院を通過していた約18兆円の今年度補正予算(16日に成立)を取り上げ、「今回の補正予算で純粋に中小企業支援に特化した予算は4000億円で程度です」と指摘。

続けて、「防衛大臣が戦略的投資分野と語った軍事関連など戦略17分野を中心に大企業への投資や支援金がオンパレード。一般会計で6兆4000億円程度を計上。中小企業が主な対象だった設備投資減税を今回大手に拡大。至れり尽くせりですね」と皮肉った。

ここで、山本氏は「偏った分配はさらなる倒産、社会不安を増大する可能性が高いです」と述べ、米名門・ブラウン大学の研究機関の論考の邦訳を、国会図書館専門調査員に求めた。指名を受けた担当者は、以下のように説明した。

「数十年にわたる高水準の軍事支出は、合衆国の政治と社会を混乱させた。すわわち、戦争遂行能力が強化された一方で、他の主要な機能を果たす能力が弱体化してきた。例えば、社会資本整備、医療教育緊急事態の備えといった分野への投資は、軒並み軍事支出および軍事産業によって押しのけられてきた。

軍事部門に投じられる資源が増えるにつれ、軍事産業の政治力が強まり、経済的に依存する構造が持続している。経済の軍事化した部門では、資金および人員の増加が続く一方、他のヒューマンニーズは満たされていないのである」

この説明を受け、山本氏は「国のリソース、人もカネも有限ですよね。分配が偏れば社会も壊れます」と訴え、高市氏にこう迫った。

「総理は所信で『日本人の底力を信じている』と発言されました。こういった情緒的ポエム精神論ご勘弁いただきたいんですよ。先進国で唯一日本だけですよ。30年の不況。コロナから立ち直る前に物価高までに襲われている状態。国民と中小企業は地獄の苦しみの中にいるんですよ。多くの人は力が尽きる寸前というのが今なんですよ。

底力もクソもないって話。特定の分野への底上げではなくて、まずは日本全体の景気をよくする施策、力が出る経済政策をやっていただきたい。それには大胆な消費喚起しかない。全国津々浦々にお金を回すことが基本です。消費税廃止、もしくは一律減税ぜひやっていただけないでしょうか」

今年10月の所信表明演説で、「私は日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切りひらく責任を担い、この場に立っている」とぶち上げていた高市氏。

これを「情緒的ポエム精神論」と一刀両断した山本氏だが、当の高市氏も黙ってはいなかった。

「まず私は、日本と日本人の底力を信じてます。ポエム的とおっしゃいましたが、本当に日本人は素晴らしい文化を築き、お互いに困った時は助け合いながら真面目に生きてきた。私は、それは誇りに思っています」

山本氏の方向を見つめながら、こう言い切った高市氏。その後は、「税の在り方は各会派で考え方が違うことです。現在、例えば所得税でしたら、今年の年末調整でお一人あたり2~4万円戻ります。それから、中規模事業者向けの税制、これもたくさん入っています。大企業優遇とおっしゃるが、中小企業が使える税制も、補正予算案でも手当てしています。しっかりと目配りしていきます」と山本氏の指摘に反論していた。

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