《本校の研修旅行に参加していた複数の生徒が、訪問先において窃盗行為に及んだ事案につきまして、被害に遭われた店舗の皆さま、現地コミュニティーの皆さま、現地の関係者の皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます》

12月24日に更新した公式HPで、こう声明を発表したのは京都市東山区にある大谷中学・高等学校。インドネシア・バリ島で発生した同校生徒による窃盗行為について、学校側の対応や事件の経過について報告した。

同校は東本願寺によって1875年に京都府下小教校として下京区内に開校された150年の歴史を持ち、中学・高校合わせて男子1,009人、女子810人の合計1,819人(4月1日時点)の人数を誇る名門校として知られている。

事件が発覚したきっかけは、今月5日ごろからXで拡散していた動画。バリ島の衣料品店に設置された防犯カメラに、関西地方の方言を話す少年たちが万引きをする様子が収められていた。撮影記録が’25年12月3日11時半ごろだったことから、同じ時期に研修旅行でバリ島を訪れていた同校の生徒ではないかと指摘が相次ぐことに。

直後には、同校の学校生活や季節ごとの行事、クラブ活動などについて発信するインスタグラムのアカウントも削除されていることが判明。さらに同校の公式HPに掲載されていた研修旅行のブログも閲覧不可となっていたため、物議を醸していた。

騒動の広がりを受け、同校は8日に公式HPを通じて謝罪文を公表。事件に関する詳細な説明はなかったものの、生徒の“集団窃盗”を正式に認めたかたちだ。

だがそのいっぽうで、関係各所への報告は遅れていたようだ。本誌が9日に京都府内の私立高校を管轄する府の文教課を取材したところ、担当者は「昨日の(学校の)広報を見て把握した次第で、事前に学校側から報告はありませんでした」と明かしていた。

今回、新たに発表された文書では、改めて騒動を謝罪した上で同校の方針や対応の経過が報告されている。

まず「これまでの経緯」の項目では、《12月4日、本件に関する情報を把握し、速やかに校内での確認を開始するとともに、現地の関係機関および関係者と情報共有、連携を行いながら、事実関係の確認および対応を進めてまいりました》と説明。

続けて、《その後、現地においては関係機関の関与のもと、被害に遭われた方との間で話し合いが行われ、一定の整理が図られたとの報告を受けており、そのように認識しております》と明かした。

次に「本校の対応について」の項目では、《本校では、本件を重く受け止め、現地および国内の関係機関と連携しながら被害に遭われた方への対応を進めております》と強調。対応にあたった関係機関に感謝するとともに、《生徒の安全を第一に、教育環境の整備や校内における確認体制の強化、必要に応じた相談対応などを行い、学校生活への影響を最小限に抑えるよう努めております》と報告した。

しかし今回の声明でも、事件が発生した具体的な場所、日時、関わった生徒数などの詳細やその後の処分などについては明かされていない。事案については、《本件の発生に至った経緯や要因、関係する生徒への対応の在り方等については、現在確認を進めており、事実関係の整理を踏まえ、すでに必要な確認や対応を進めておりますが、引き続き慎重に検討してまいります》と説明するにとどまった。

再発防止の取り組みに関しては《事実関係の整理を踏まえ、指導や研修の在り方について検討を進めております》とし、保護者に向けて現状可能な範囲内で説明する意向を示している。

文末では《本件につきまして、多くの方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、改めてお詫び申し上げます》と再度謝罪し、《教育機関としての責任を自覚し、今後の学校運営に適切に反映させていくとともに、信頼回復に向けて、誠実に対応してまいります》と締めくくられた。

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