食文化研究家のスギアカツキです。
コロナ禍を経て、ファミレスが多様な進化を遂げているのを知っていますか? その中でも存在感を高めているのが、「バーミヤン」。本格中華を手頃な価格で楽しめる中華料理のファミレスで、全国で354店舗(2024年3月末時点)を展開しています。
以前のイメージは、ちょっと高級な中華ファミレス、ラーメンが種類豊富な中華屋など、時代によって印象が変わるような試行錯誤感が否めませんでした。しかしその後目指すべき方向性が固まったのか、“バーミヤンは安くておいしい”が定番化しつつあります。
そしてじっくり見ていくと、“ひとりごはん”というくくりでも多くの人の心をつかんでいることに気がつきました。
①ひとりでも複数選べる小皿料理が看板メニューに
メニューに「BARミヤン」と大きく掲げられ、餃子や揚げ物、和え物やおつまみ系がずらりとならんでいます。これは夜のひとり飲みはもちろんのこと、お昼にちょっと一品足したい時や、小皿だけで組み合わせていろいろ食べたい時に適したボリューム感です。
「中華風漬けまぐろ」がおいしい!
また店舗によりますが、お酒のボトルキープが可能な場合も。これは従来のファミレスにはなかったサービスとして、ひとりでも気兼ねなく通い続けられるきっかけになりそうです。
②本格的な台湾料理が味わえる
メニューの目玉は、台湾の有名スープ専門店「潮味決(チャオ・ウェイ・ジュエ)」とコラボした本格的な麺料理が味わえること。
私は「麻辣湯」(989円)を食べてみましたが、器もアツアツの状態で提供され、台湾らしい甘辛スパイシーな香りはおどろくほどのおいしさでした。
台湾に行かずに日本で台湾気分がしっかり味わえるとなると、旅行しない派の人々にも喜ばれるに違いありません。
③コンビニやテイクアウトでは味わえない個性派デザートが充実
とろっとクリーミーな食べ心地の濃厚な杏仁豆腐「フルーツアンニン」(399円)をはじめ、「レモンのオーギョーチ」(230円)、台湾式汁粉の「黒胡麻湯圓」(384円)、「あったか蒸籠蒸し台湾カステラ」(439円)など、コンビニをしのぐような安心価格になっています。
また、テイクアウトで味わうのではなく、汁粉や蒸しカステラのように作り立てを味わえるようなメニュー設計になっているのも、来店動機につながるでしょう。
また2022年からメニューの値下げを積極的に実施するなど、お財布にもやさしいファミレスとして地位を確立。この状況は、おひとりさまにとっても外食の敷居を下げてくれているに違いありません。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。