今回は新作ドラマのなかから、まだ間に合う! おすすめ5作品をご紹介します。
季節のない街
まずは先クール話題を集めたドラマ『不適切にもほどがある!』の脚本家・宮藤官九郎氏が企画・監督・脚本を手掛ける『季節のない街』(テレビ東京系、金曜よる12時42分~※4月26日は12時57分~)。豪華キャストが描く、生きる人の“温かみ”
希望を失い、この“街”にやってきた主人公・田中新助(池松壮亮)が“街”の住人たちの姿に希望をみつけ、人生を再生していく青春群像エンターテインメント。本作はなんといってもキャストが超豪華!主演の池松壮亮をはじめ、仲野太賀、渡辺大知、三浦透子といった旬の実力派から、安定感のある濱田岳、荒川良々、前田敦子、MEGUMI、坂井真紀、塚地武雅、ベンガルらが、個性的過ぎる“街”の住人として登場します。そんな豪華キャストが演じる登場人物たちそのものが、本作の大きな魅力の一つ。
“ナニ”の災害によりすべてを失い、どうしようもない不安、憤りがあるなかで、懸命に日々を暮らす人々の姿は、ときに常軌を逸しています。
95(キュウゴー)
King&Princeの髙橋海人が主演を務め、中川大志、松本穂香らと共演するドラマ『95(キュウゴー)』(テレビ東京系、月曜よる11時6分~)は、開局60周年のテレビ東京による力作。ノスタルジーだけではない、迫りくる“熱量”
1995年に流行ったファッションや音楽、当時の渋谷カルチャーを“空気感”まで再現度高く描写している本作。当時中学生で、渋谷にやたら憧れていた筆者世代にはとにかく懐かしい!しかし、ただノスタルジーを感じる作品ではありません。
はじめ髙橋・中川の高校生役はちょっと……と思いましたが、背伸びして大人然としていた当時を感じさせていて納得! それほどに、1995年を生きた若者の圧倒的な“熱量”が画面からほとばしっています。第3話のラストはショッキングな展開となり、ますます目が離せそうにありません。今からでもまだ間に合うので、ぜひ追いついてほしい作品です!
RoOT / ルート
映画化、舞台化と展開し、根強い人気を誇るアニメ『オッドタクシー』の世界から、新たに登場したミステリードラマ『RoOT / ルート』(テレビ東京系、火曜よる12時30分)。やたらとクセになる作品です。河合優実×坂東龍汰の掛け合いがツボ
W主演のキャスティングが絶妙! 先クールのドラマ『不適切にもほどがある!』で知名度を爆上げした河合優実と、今クールの9『366日』にも出演中で映画・ドラマに引っ張りだこの坂東龍汰です。舞台は街の小さな探偵事務所。河合は、19歳の愛嬌ゼロのクールな探偵・玲奈を。玲奈の部下で勘は悪いけど凶運をもつポジティブな新人・佐藤を坂東が演じています。調査もしゃべりも淡々とクールに進める河合と、やたら抜けていて無駄なことまでしゃべってしまう坂東の化学反応がいい!
探偵ものなので、30分とは思えない情報量が展開されている本ドラマ。しかし、ふたりのやり取りに見惚れてしまい「あれ? 事件どうなってんだっけ?!」と視聴二周目に突入してしまうほどの面白さです。
小戸川(篠原篤)というタクシードライバーの謎めいた素行調査をしていくうちに、女子高生失踪事件へと巻き込まれていくふたり。
滅相も無い
SF風の世界設定に惹きこまれる『滅相も無い』(TBS系、火曜よる1時28分~ほか)はジワります。突如として日本にあらわれた7つの“巨大な穴”。調査するも穴の正体はわからず、人々は穴とともに暮らしはじめます。演劇×映像の融合にハマる新感覚ドラマ
8人の信者を演じるのは、窪田正孝、中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、中嶋朋子、平原テツ、古舘寛治と実力派揃いです。意味不明な世界線なのに、描かれているのは人間のリアルすぎるエピソード。登場人物たちが語る人生史からは、それぞれが抱いてきた疑問や悩み、人には話しにくい想いが浮き彫りになっていきます。その人生史の描き方も斬新です。すべて同じスタジオセット内で展開され、6人のスタジオキャストが全話通して出演し、約150もの役をこなすという手法。映像編集に捕われない魅せ方は演劇的でありながら、違和感なく受け取ることができるから驚きです。それもそのはず、監督・脚本を務める加藤拓也氏は、舞台で数多くの賞を受賞した人物。
からかい上手の高木さん
シリーズ累計発行部数1200万部を突破した、山本崇一朗氏の人気コミックをドラマ化した『からかい上手の高木さん』(TBS系、火曜よる11時56分~)には“癒し”しかありません。初々しさを感じる心理描写が美しい
“からかい上手の高木さん”役は、雑誌『Seventeen』(集英社刊)で専属モデルとして活躍する月島琉衣。そして“からかわれっぱなしの西片”を、映画『怪物』で主演のひとりを務めた黒川想矢が演じ、10代のフレッシュな役者のピュアな演技が光ります。もうこのふたりが最高! ストレートに「好き」と伝えるのではなく、“からかい”を通して初々しく心を交わしていくふたりを、監督の今泉力哉氏が美しく丁寧に描いています。中学生という思春期ならではの会話と心の交流が、美しくて尊いのです。
本作アニメ版の聖地となっているロケ先・香川県小豆島の自然豊かな空気感に、ふたりのどこまでも甘酸っぱいやり取りがマッチ!「うるせーぞ西片!」と物語を締める担任・田辺(江口洋介)もいい感じです。夏に向けて、青春感あふれる爽やかなラブストーリーが楽しめます。
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深夜ドラマが、深夜の枠を超えた面白さを放っている今クール。TVerなどの見逃し配信を活用して、長期連休中にぜひ楽しんでいただきたいです。
<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>
【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201