マッチングアプリで婚活を始めてみたけれど、なかなか相性の良い相手と出会えない……そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?
 
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今回は、そんなマッチングアプリでの婚活に疲れてしまった片岡明穂さん(仮名・32歳/契約社員)のエピソードをご紹介しましょう。

妥協せずイケメンに「いいね!」してみたら

「今まで何人かの男性とマッチングしてデートするところまではいきましたが……はっきり言ってときめいたり、“好き”という気持ちになれたりしたことがないんですよね。いつも私ばかりが気を遣い、結局ギクシャクしてフェードアウトしていくのがパターンなんです」

マッチングアプリで出会った男性とお付き合いをしている女友達の綾子さん(仮名・31歳/会社員)から「カップルになれるかどうかは根気次第。
腐らずにいい出会いを待つことができればきっと上手くいくよ」との助言に背中を押されて今まで頑張ってきた明穂さん。ですが、もう限界を感じていました。

「ある日、私は綾子の前で『もうこんな不毛なことに貴重な時間を費やすより好きなことをして機嫌良く過ごしたい。どうせ無理して彼氏を作ろうとして結婚を焦っても、空回りするだけで上手くいかないように、世の中できているんだよ』と自暴自棄になっていました。すると綾子が『分かったよ。でもあと1回だけ頑張ってみようか? それでダメならまた他の方法を一緒に考えよう』となだめてくれたんですよ」

親身になって考えてくれる綾子さんのためにも、明穂さんは最後の力を振り絞ってもう一度だけチャレンジしてみようと思ったそう。

「もう最後なんだし妥協なしでいこう! と、無理めの千葉雄大さん似のイケメン、友哉さん(仮名・31歳/会社員)に「いいね!」したら速攻でマッチングして。とんとん拍子に話が進み初デートの約束をとりつけることができて、ちょっと順調すぎて怖いぐらいでした」

絶対に目を合わせない、千葉雄大似の彼

そしてデート当日、目の前に現れたのは写真よりも数倍かっこいい、とてもスタイルの良い男性でした。

「こんな男性がマッチングアプリする必要ある? 詐欺とかマルチの勧誘かもしれない……と一瞬身構えてしまいましたが、とりあえずそれを見抜くためにもちゃんと話してみなくちゃと思ったんです」

アプリで出会った「絶対に目を合わせない」千葉雄大似のイケメン。その“悲しすぎる理由”に胸が痛む
ラストマッチング
すると、明穂さんが笑顔でいくつか質問をしているのにもかかわらず、友哉さんとほとんど目が合わないことが気になりました。

「もしかしたら実際に会った私の容姿や雰囲気が気に入らなくて、嫌われてしまったのかな? と思いましたが……なんだか友哉さんは緊張しているのか変にオドオドしているし『この人にはなんであのイケメン独特の落ち着いたどっしり感がないんだろう?』と不思議に思って。つい『なんで私の目を見て話してくれないんですか?』と直球の質問をしてしまったんですよ」

イケメンなのに、なぜ覇気のない残念な仕上がりに?

それまで、アプリで知り合った男性とのデートの時には気に入られようと猫を被り、言いたいことも言えずストレスを感じていた明穂さん。でも「これがラストだ」と思うと、友哉さんには気楽に話しかけることができたそう。

「友哉さんが思っていた以上のイケメンだったこともあり、なんだか自分と付き合うなんて現実感がなさすぎたので、かえって力が抜けて緊張しなかったんですよね」

アプリで出会った「絶対に目を合わせない」千葉雄大似のイケメン。その“悲しすぎる理由”に胸が痛む
悩む男性
すると友哉さんは、ものすごく申し訳なさそうな表情を浮かべて「実はそれが原因で女性となかなかうまくいかなくて……。明穂さんにも不快な思いをさせてしまっていたらすみません」と外見に似合わない自信のないオーラを全開で出してきました。


なんでこんなイケメンが覇気のない残念な仕上がりになっちゃったんだろう? と逆に興味が湧き、腰を据えて友哉さんの話を聞いてみようと思ったんです」

目を合わせない理由は、姉の“辛い体験”だった

するとその原因は友哉さんの6歳上のお姉さんにあったそうで……。

「友哉さんのお姉さんはとても美人でスタイルが良く、とにかく人目を引くことで近所では有名で、街をただ歩いたり電車に乗ったりしているだけでも、男性、特におじさんからジロジロと見られることが多かったのだそうです

なかには一度すれ違ったのにまた戻ってきて回り込み、再度顔面や身体のラインを確認するような失礼なおじさんもいて。お姉さんはそんなことばかりの毎日に嫌気が差して引きこもりがちになり、精神を病んでしまっていた時期があったそうなんです」

他にも、電車で座っていると離れたところに立っていたおじさんがわざわざ真正面に座りに来て凝視してきたり、ふと目が合っただけで自分に気があると勘違いしたおじさんに追いかけ回されたりと、数々の怖い思いをしてきたお姉さん。そのせいで、眼鏡をかけて帽子を被り下ばかり向いて歩いているそうで、そんな姿をずっと見ていた友哉さんは胸を痛めてきました。

「子どもの頃からお姉さんの隣で、品定めするように絡みつくような目線を送ってくる下品なおじさんを何人も何人も見てきた友哉さんは、『あんな風に女性を苦しめるような大人にだけはなりたくない』と強く思ったそうなのですが……。それが原因で、女性を見ることも目を合わせることも、極端にできなくなってしまったそうなんですよ」

僕の話を奥深くまで聞いてもらえるなんて

そんな友哉さんが女性と上手くコミュニケーションを取れるわけもなく、たまに外見だけで告白してくる女性が現れても、その自信のないオドオドした内面を知るとマイナスなギャップを感じるのか、引かれてしまうことばかりだったそう。

アプリで出会った「絶対に目を合わせない」千葉雄大似のイケメン。その“悲しすぎる理由”に胸が痛む
肩を抱いて微笑み合うカップル
「大切なお姉さんのトラウマのために上手く恋愛できなかったなんて、さぞ辛かっただろうなと思いました。結婚願望があった友哉さんはなんとかお相手を見つけようと昨年からマッチングアプリで婚活し始めたものの……私と一緒でなかなか上手くいかなかったそうなんですよ」

ですが、今回明穂さんに出会い「こんな風に、カウンセリング並みに僕の欠点のルーツを奥深くまでしっかりと聞いてもらえるなんて」と喜びを隠しきれない様子だった友哉さん。やっと少しだけ目を合わせてくれました。

正直ぶっ倒れそうになるほどときめいた

「『あ、写真よりずっとかわいいんですね』と綺麗な笑顔で言われて、正直ぶっ倒れそうになるほどときめいてしまいました。そして私には友哉さんの自信なさげな態度がマイナスには感じられず、感受性の豊かなお姉さん思いの優しい男性なんだな、と思えて好印象だったんですよね」

そのように話をしているうちに少しずつ心が近づいた2人は、デートを重ねるようになりお付き合いすることになりました。

「ラストチャレンジで見事に掘り出し物のような男性に巡り合うなんて最高! と綾子もとても喜んでくれています。友哉さんとは、今はしっかり見つめ合えるようになりました」と微笑む明穂さんなのでした。


<文&イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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